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話題作は『ダ・ヴィンチ・コード』だけじゃない!第59回カンヌ国際映画祭開催中
初夏のフランスの風物詩ともいえるイベント、カンヌ国際映画祭が今年も南フランス屈指のリゾート地、カンヌで開催されている。カンヌ国際映画祭といえば、ヴェネチアやベルリン映画祭と並ぶ、世界三大映画祭のひとつ。もともとはフランス貴族のためのリゾート地だったカンヌだが、今では高級ブランド店が立ち並ぶラグジュアリーな街。映画祭には、世界中から映画バイヤーはもちろん、各国の映画スターやセレブが列挙することでも有名だ。
今年、この映画祭の審査委員長を務めるのは、アジアの名匠ウォン・カーウァイ。カーウァイに敬意を表 してか、今回の映画祭のポスターには、彼の代表作『花様年華』のワンシーン、女優マギー・チャンの後姿が採用されているそうだ。そのほかの審査員には、仏監督のパトリス・ルコントやイタリアの女優モニカ・ベルッチ、チャン・ツィイーなどが名を連ね、例年通り、豪華な顔ぶれとなっている。
注目のコンペティション作品は?
映画祭の開催中は、受賞対象になるコンペティション作品のほか、招待作品、ショートフィルムなど、さまざまなジャンル、国からの作品が上映される。しかし、今年の話題作といえば、オープニングのプレミア上映作品となった『ダ・ヴィンチ・コード』だろう。
イギリス国内では上映前から“ダ・ヴィンチ・コードの旅”という体のパリ⇔ロンドン旅行ツアーが企画され、TVCMが流れていたほど。BBCのニュースで、イギリスに実在するオプス・デイ(映画に登場する宗教団体)のメンバーに「映画(原作)の真偽について」のインタビューが放送されるなど(もちろん「映画はフィクションです!」と豪語していたが)、なにかと話題を呼んでいた。映画のキーとなる『最後の晩餐』を保有する伊の美術館では、「この本は間違っている!」という但し書きつきで、原作本のイタリア語版が販売され、かなりの収益をもたらしたと言うし、とにかくゴシップには事欠かない作品である。
プレミア上映後の評価はさんざんだったらしいが、イギリスでは「イギリス俳優イアン・マッケランとポール・ベタニーのおかげで、少しは見られる映画になっていた」という微妙な評価。何かとお騒がせな作品だが、出来不出来にかかわらず、記録的な興行成績を残しそうな予感がする。
映画祭の開催中、順次上映されるコンペティション22作品のなかで、個人的な注目作としては、『ラヴィ・ド・ボエーム』などの名作で知られるフィンランド巨匠、アキ・カウリスマキの新作。夜間警備員の男を主人公にしたという「LAITAKAUPUNGIN VALOT」は彼ならではの悲喜こもごもの掌編が期待できそう。また、女性ならではの感性が光るソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」も注目作のひとつ。誰もが知っている歴史的な女性を、どう描いているのか、ソフィア・コッポラらしい映像美も楽しみなところだ。イギリスからはケン・ローチの「THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY」や、昨年度アカデミー賞ショートフィルム部門でグランプリを獲得したアンドレア・アーノルド監督の「RED ROAD」がコンペティション作品に選ばれているが、さて、今年の受賞作に輝くのはどの一本になるか?
カンヌ映画祭の開催は今月末の28日まで続く。カンヌを征した作品は、世界を征するといってもいい。日本国内でも公開される作品が多いから、どんな作品がパルム・ドールを手にするか、大いに気になるところである。
コンペティション作品の紹介が見られる公式HP
TEXT BY シラヤナギリカ
2006年05月24日 13:35
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