« 中東欧、新EU加盟国のドキュメンタリーFILM | メイン | 渋め、文芸ドラマでイギリスの秋 »
50th ロンドンフィルムフェスティバル開催
今年で50回目を迎えるロンドンフィルムフェスティバル。記念すべき節目となるフェスティバル、注目作品は?ロンドンのこんな場所も上映会場に
秋のロンドンの恒例行事、ロンドンフィルムフェスティバルが今年も開催される。例年以上に大掛かりな演出が予想される今回は、通常の劇場での上映のほか、レコーディングスタジオや刑務所、病院など、あっと驚く場所50箇所が映画館になるとか。ふだんは入れない刑務所での上映は、映画より周囲の雰囲気に目がいってしまいそうな気もするが、体験としてはおもしろそう。上映作品は未定のようだが、病院でホラー、刑務所で犯罪ドラマなんていうセレクトなら、臨場感もひとしおかもしれない。
注目の映画ぞくぞく上映
オープニング上映を含む、GALA(特別上映)作品は、13作品。日本、メキシコ、モロッコ、アメリカを舞台とする『Babel』 や2003年に『ウザク』でカンヌグランプリを獲ったトルコ人監督ヌリ・ビルゲ・ジェイランの新作『Climates』 、イギリスの好感度№1女優ケイト・ウィンスレット主演の『Little Children』も含まれる。
ケイト・ウィンスレットは、この作品を最後にしばらく休養するという話。ケイトが演じたのは、高学歴でキャリアバリバリ、でも今は専業主婦という鬱憤のある女性。不倫、小児性愛など重いテーマのこの映画を通して、自身の子供のこと、「母親」とは何かを再考したそうで、サスペンスものながら、なかなか考えさせてくれる作品のようだ。
イギリス作品では、『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェル監督がロンドンを舞台に撮った『VENUS』が上映。うだつのあがらない老年俳優ふたりとその若い姪とのハートウォーミングドラマ。それなりに楽しく生活していた老俳優たちに「人生を見つめなおす」きっかけを与える姪、それぞれの晩年への思いを描く。
惜しくも今年のカンヌは逃したものの、『Climates』も批評家からは絶賛された作品。物語は大人になりきれないTVディレクター、ハバーと自分勝手な大学講師イサ、ふたりの別れから始まる。前作同様、人間の心のひだ、もろさ、機微を描いた作品は、大人のためのヒューマンドラマといえる。 同じくカンヌ特別上映作品にもなったマリ出身の映画監督Abderrahmane Sissakoの『Bamako』はロンドンでも上映。貧しくも美しいクラブ歌手のマレと働き口の夫は、結婚の危機を迎えていた。 ひとつの家にたくさんの家族が暮らすアフリカを舞台にした社会派ドラマだ。
このほかにもドグマ系デンマーク映画やルーマニア、チェコなど旧共産圏ヨーロッパ作品、中国、イラン、タイ、フィリピンなどアジア作品100作品以上が2週間の間に公開。映画好きにはたまらない秋になりそうだ。
2006年10月11日 19:35
この記事へのトラックバックURL:
http://blog.eigafan.com/cgi-bin/mt-tb.cgi/507
毎月第2,4火曜日更新