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イギリス人が選ぶ、アイコン英国人ベスト10
毎週土曜、BBC2で放送されている「The culture show」。映画やアート、音楽など、その時々のホットな話題をピックアップする番組だが、現在、その番組内で「Living Icon」と題した“カルチャーアイコン・英国人を選ぶ”投票が実施されている。今回、投票された有名人は500人以上で、なかでも投票率の高い10人がアイコンとしてノミネートされている。その10人とは、シンガーのデヴィト・ボウイやモリッシー、巨額の離婚訴訟で世間をにぎわしているポール・マッカトニー、デザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッド、英国アカデミー賞BAFTAの司会者でもおなじみのスティーブン・フライ、『リトル・ヴォイス』のマイケル・ケインなどなど。
カルチャー・アイコンだけあって、個性的で才能豊かな面々ばかりだが、なかにはコカイン騒動のあったケイト・モスなどもランクイン。すっかり汚れたイメージになったものとばかり思っていたが、相変わらずCMにもバンバン出ているし、ファッション・アイコンとしての地位はまったく不動。
それにしても、モスにしてもツィッギーにしても、イギリス人は痩せて、あまりきれいとはいいがたい、はっきりいえばファニーフェイスな女に、どうしようもなくセクシーさを感じる民族なのだろうか。モスの場合は、暗い生い立ちと大成功のギャップが好まれているような気もする。
さらに言えば、モリッシーやらボウイが堂々とノミネートされているところもイギリスらしい。ゲイだろうがなんだろうが、その分野で優れていたら関係ないのだろう、きっと。
人気や華やかさ以外にも注目!
俳優。司会者、コメディアン、文筆業等、多彩な才能でノミネートされているステファン・フライは、ロンドンの高級住宅地ハムステッド出身で、いわゆるええとこのボンボンだが、夏に放映された同じBBC2のドキュメンタリー「Comedian Fry reveals suicide bid」では、幼少期から極度のmanic depression(躁うつ病)だということをカミングアウトしていた。ウェストエンドの芝居を抜け出し、自殺未遂を企てた経験もあるのだそうで、役者としての成功や名声の裏にあるとんでもなく「ダーク」な面をこれでもか!というくらいにさらけ出していたのが、印象的だった。
ドキュメンタリーの回想シーンで、良家の子女が集まるボーディングスクールを飛び出したティーンの彼は親のカードで高級ホテルに滞在し、豪遊の限りを尽くす(後につかまって服役)。やがて、あとになって「あれは病気の症状だった」と気がついたのだという。番組では、同じ病に苦しんでいるというハリウッドセレブ(『スター・ウォーズ』女優のキャリー・フィッシャーや俳優のリチャード・ドレイファス)を訪ねて話を効き、「病気になったことは、悪いことばかりではないのではないか」と自問するところで終わっている。 昨年のBAFTA授賞式のときも、かなり悪い状態だったらしいが、私を始めお茶の間の人々は。おそらく微塵もそんな気配を感じなかったに違いない。
このドキュメンタリーの視聴率がどうだったかは知らないが、私のなかでフライへの「偉いなぁ」感がアップしたのは間違いない。セレブだ、なんだと華やかなのも楽しいが、カルチャー界の人々には、人間としての苦悩や深遠さがあって然るべき! というわけで、個人的にはフライに一票入れたい今回の投票である。
英国カルチャーの厚みを感じさせるこの投票結果は、12月7日に発表の予定。結果が楽しみだ。
2006年12月06日 15:01
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