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イギリスの映画関連スポット2

ヨーロッパの最先端!に触れるならバービカン・センター

 世界の金融界を牛じるロンドン東部、ザ・シティ・オブ・ロンドン。高いビルが立ち並ぶオフィス街にありながら、最新のアート、演劇、映画などに触れることが出来るバービカン・センター。

 ヨーロッパ最大の文化施設になるバービカンは、蜷川幸雄演出のシェイクスピア劇や村上春樹原作の舞台も上演されたことのある大小2つのシアター、コンサートホール、ギャラリー、映画館、図書館などが複合されている。ここに足を運べば、ヨーロッパの現在の息吹を感じることができる、といっても過言ではない大型のアートスペースなのである。
 ちなみにこのバービカン、大人数を集客するべく、大規模な建築物なのだが、1982年の建設当時、チャールズ皇太子に「建築が醜すぎる」とのお叱りを受けたことがある、いわくつきの建物なのだ。個人的には、20年経った今見てもなかなか格好のよい、ユニークな建築だと思うが、当時としては斬新過ぎた、ということか。

世界からの話題作がぞくぞく

 今後の上映作品には、ドイツ・ベルリン映画祭でも上映された『AWAY FROM HER』 (カナダ)や80年代のイギリスを描いた『This is England』 などがある。

 カナダの女優サラ・ポーリーの初長編映画となる『AWAY FROM HER』は、互いに認め合い、波風もなく結婚生活45年を過ごしてきた老夫婦の物語。そんな生活も妻がアルツハイマーを発症したことで一変。療養所へ入所した妻は、自分を18歳の娘だと思い、別の入所患者に恋をしてしまう。   日本でもアルツハイマーと夫婦愛をテーマにした映画が上映されたが、ハリウッド嫌いで政治活動家でもあるサラ・ポーリーの監督作品だから、フェアリーテールだけでは終われない、夫婦の姿を見せてくれるに違いない。

 “80年代のイギリスの空気を見事に再現した”と絶賛される『This is England』は 、『once upon a time in midland』『Twenty four seven』(ともに日本未公開)で知られるシェーン・メドウ監督の実体験を軸にした作品。スキンヘッドの12歳の少年が出会ったギャングの世界は、刑務所帰りのレイシスト・メンバーの出現で、悲惨なものになっていく。自身もノッティンガムのハイスクールをドロップアウトし、主人公の少年同様、父親の居ない少年だったシェーン。不況の只中、人種差別と暴力にまみれたダークサイドのイギリスを、80年代に出来たバービカンで鑑賞するのも乙。時代の気分を満喫できる一本だ。  そのほか、監督業を廃業にするといううわさもあるパトリス・ルコントの『MON MEILLEUR AMI (マイベストフレンズ)など、ヨーロッパの新しい映画もぞくぞく。

 最新映画の上映はもちろんのこと、映画制作者のワークショップやトークショーなどのイベントの開催。映画関連商品の販売などが行われることもある。とにかく大きな施設なので、時間のあるときにゆっくりと見て回るといいだろう。


TEXT BY シラヤナギリカ

2007年05月08日 17:50

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