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「アメリカン・アイドル」シーズン5 番組史上最年長のアイドルが誕生

先週、全米で驚異的な人気のスター発掘番組「アメリカン・アイドル」の最終選考が行われた。アメリカが沸きに沸く中、第5シーズン目のアイドルに選ばれたのはテイラー・ヒックス。オフィシャルサイトをご覧になれば分かる通り、一瞬「あいどる?」と首をかしげる風貌である。

番組を見ていない人は、なんでこんなおじさんがアイドルなんだと思うだろう。意外にも彼は、老け顔の若白毛らしく、年齢は応募資格年齢ギリギリの29歳だ。番組史上最年長のアイドルの誕生を困惑気味に報じるメディアも少なくない。だがテイラーは全米が選び出した正真正銘のアイドルなのだ。

2002年にスタートした「アメリカン・アイドル」は、シーズンを改めるごとに人気を高めている。地区予選までは審査員による選考も、最終ステージでは視聴者の人気投票に切り替わる。日本のアイドルと違い、ルックスは二の次で歌唱力のみを評価された選りすぐりのファイナリストたちは、全米が見守る多大なプレッシャーの中で最高のパフォーマンスを要求される。緊張で普段の実力が発揮できなければ、辛口審査員から容赦ない酷評を浴びせられる。ルックスを重視しないのは公平を期すためではなく、並々ならぬ精神力が試されるステージでは、見た目の「かわいさ」や「かっこよさ」はどうでも良くなってくるのだ。どちらかというと深夜のトークショーの司会者向きであるテイラーが勝者となったのは、圧倒的な歌唱力と度胸が評価された結果である。

しかし、番組の頂点を極めたからと言って、必ずしも彼らの成功が約束されたわけではない。歴代のアイドルを振り返ると、現在も売れているのはケリー・クラークソン(第1回目のアイドル)か、ルーベン・スタッダード(第2回)くらいではないだろうか。キャリー・アンダーウッド(第4回)の人気は、まだデビュー間もないこともあり何とも言えない。ファンタジア・バリノ(第3回)に関しては殆ど目立った活動がなく、「あの人は、今」的な番組で特集しても良いくらいだ。

逆に、アイドルに選ばれなかったパフォーマーが売れるケースもある。第2シーズン目の最終選考に残ったクレイ・エイケンはヒット曲を引っさげて全米ツアーも行うほどの活躍ぶりだ。違う意味でアイドルなウィリアム・ハン君のようなお宝を発掘することもまた、番組の魅力の一つである。

最新シーズンの王者となったテイラーは、今後しばらく各番組に出演した後、正式なデビューとなる予定。また、最終戦で惜しくもテイラーに敗れたキャサリン・マクフィーも、ルックスの良さからして歌手デビューは間違いなし。番組を巣立ったアイドルたちが、今後も人気を落とさず活動を続けることを祈りたい。

TEXT BY 尾崎佳加

2006年06月02日 13:10

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