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ただのロマンスじゃもの足りない 萌えーるような#$%が欲しい!
ここ数年、ハリウッドでロマンス作品の打率が伸び悩んでいるらしい。
映画の興行成績ランキングを発表するMOJOのデータによると、過去最高のヒットを放ったラブ・ストーリーは97年の「タイタニック」。米国内の観客動員数は600,788,188ドルで、全世界でも未だ映画史上最高の興行成績(1,845,034,188ドル)を保持し続けている。だが、映画界全ジャンルのトップに君臨するジャンルは、その後は全くといって良いほどヒットに恵まれていない。
MOJOの米国内の観客動員数トップリストをみると、2006年は「Xメン」(217,963,855ドル)、「ダ・ヴィンチ・コード」(200,127,912ドル)、「アイス・エイジ」(192,934,814ドル)の3作品が健闘。その中でロマンス作品は、「レイク・ハウス(原題)」がわずか17,321,697ドルの売り上げで、文字通り、ケタが違う。2005年は「スター・ウォーズ エピソード3」が380,270,577ドル、「ナルニア国物語」が291,710,957ドル、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」が290,013,036ドルを売り上げ、ファンタジーやSF大作がヒットを放つも、これらと比較できる成績を記録する純愛映画はなかった。「タイタニック」以前にヒットしたロマンス映画では、90年の「ゴースト」(217,631,306ドル)までさかのぼる。この間、膨大な数の恋愛ものが世に放たれていたにもかかわらず、だ。
考えてみれば、他のジャンルと比べ、ラブ・ストーリーほどあらすじにインパクトのないものはない。身分違いの恋をした男女が駆け落ちする物語も、突然の事故で離れ離れになってもなお思い続ける恋人たちの物語も、その過程がどれほど素晴らしく、他に類をみない展開であっても、あらすじを読む限りはその他大勢の純愛ものとさほど変わりがない。
だが、アクションはたとえ内容がおざなりでも、映像やスペクタクルを楽しめれば良いという観客はいる。ホラー作品も然りで、たとえラストが「おい!」とつっこみたくなるようなお粗末なものでも、一瞬一瞬をドキドキハラハラさせてくれれば良しと、比較的寛容な心で鑑賞できるものである。その点、ラブ・ストーリーはプロットが全てである。毎度毎度、同じような展開では飽きてしまうのだ。
だが、恋愛というジャンルがまるでダメというわけでは決してない。ロマンティック・コメディー(ラブコメ)は依然好調な成績だ。ジェニファー・アニストン&ヴィンス・ボーンが共演する「ザ・ブレイク・アップ」はゴシップ効果も手伝い、公開して間もないながら94,935,385ドルと快調な数字を打ち出し、早くも今年の売り上げ第7位に躍り出た。2005年は「最後の恋のはじめ方」が179,495,555ドルで11位にランク入りし、ラブコメとしては異例の数字をはじき出している。「Mr.& Mrs.スミス」や「ウェディング・クラッシャー(原題)」のヒットを見ても、ロマンス+α作品は根強い人気があるのは確かである。
では、純粋なラブ・ストーリーは、なぜ話題を呼ばないのかというと、日本が純愛ブームに沸く中、アメリカではより娯楽性の高い作品が求められるからだろう。思えば「タイタニック」のヒットも、豪華客船の沈没というスペクタクルがあったからこそ成り立った。昨年のオスカー最多受賞作品「ブロークバック・マウンテン」は、田舎ものの純愛映画という、聞いただけではたいくつ極まりないプロットにも関わらず83,043,761ドルの興行成績を収めている。これも、同性愛というスパイスがあったから話題になったことは否めない。アメリカのカウボーイとカントリーガールの純愛では、この半数も集客できなかっただろう。
結局、ロマンス映画のヒットは結果論なのかもしれない。ロマンスだけではもの足りない。愛する人を殺めなければならない心の葛藤でも良い。恋人が暗黒組織のドンでも良いじゃないか。現代人は、純愛に、萌えーるような+αを求めている。
TEXT BY 尾崎佳加
映画の興行成績ランキングを発表するMOJOのデータによると、過去最高のヒットを放ったラブ・ストーリーは97年の「タイタニック」。米国内の観客動員数は600,788,188ドルで、全世界でも未だ映画史上最高の興行成績(1,845,034,188ドル)を保持し続けている。だが、映画界全ジャンルのトップに君臨するジャンルは、その後は全くといって良いほどヒットに恵まれていない。
MOJOの米国内の観客動員数トップリストをみると、2006年は「Xメン」(217,963,855ドル)、「ダ・ヴィンチ・コード」(200,127,912ドル)、「アイス・エイジ」(192,934,814ドル)の3作品が健闘。その中でロマンス作品は、「レイク・ハウス(原題)」がわずか17,321,697ドルの売り上げで、文字通り、ケタが違う。2005年は「スター・ウォーズ エピソード3」が380,270,577ドル、「ナルニア国物語」が291,710,957ドル、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」が290,013,036ドルを売り上げ、ファンタジーやSF大作がヒットを放つも、これらと比較できる成績を記録する純愛映画はなかった。「タイタニック」以前にヒットしたロマンス映画では、90年の「ゴースト」(217,631,306ドル)までさかのぼる。この間、膨大な数の恋愛ものが世に放たれていたにもかかわらず、だ。
考えてみれば、他のジャンルと比べ、ラブ・ストーリーほどあらすじにインパクトのないものはない。身分違いの恋をした男女が駆け落ちする物語も、突然の事故で離れ離れになってもなお思い続ける恋人たちの物語も、その過程がどれほど素晴らしく、他に類をみない展開であっても、あらすじを読む限りはその他大勢の純愛ものとさほど変わりがない。
だが、アクションはたとえ内容がおざなりでも、映像やスペクタクルを楽しめれば良いという観客はいる。ホラー作品も然りで、たとえラストが「おい!」とつっこみたくなるようなお粗末なものでも、一瞬一瞬をドキドキハラハラさせてくれれば良しと、比較的寛容な心で鑑賞できるものである。その点、ラブ・ストーリーはプロットが全てである。毎度毎度、同じような展開では飽きてしまうのだ。
だが、恋愛というジャンルがまるでダメというわけでは決してない。ロマンティック・コメディー(ラブコメ)は依然好調な成績だ。ジェニファー・アニストン&ヴィンス・ボーンが共演する「ザ・ブレイク・アップ」はゴシップ効果も手伝い、公開して間もないながら94,935,385ドルと快調な数字を打ち出し、早くも今年の売り上げ第7位に躍り出た。2005年は「最後の恋のはじめ方」が179,495,555ドルで11位にランク入りし、ラブコメとしては異例の数字をはじき出している。「Mr.& Mrs.スミス」や「ウェディング・クラッシャー(原題)」のヒットを見ても、ロマンス+α作品は根強い人気があるのは確かである。
では、純粋なラブ・ストーリーは、なぜ話題を呼ばないのかというと、日本が純愛ブームに沸く中、アメリカではより娯楽性の高い作品が求められるからだろう。思えば「タイタニック」のヒットも、豪華客船の沈没というスペクタクルがあったからこそ成り立った。昨年のオスカー最多受賞作品「ブロークバック・マウンテン」は、田舎ものの純愛映画という、聞いただけではたいくつ極まりないプロットにも関わらず83,043,761ドルの興行成績を収めている。これも、同性愛というスパイスがあったから話題になったことは否めない。アメリカのカウボーイとカントリーガールの純愛では、この半数も集客できなかっただろう。
結局、ロマンス映画のヒットは結果論なのかもしれない。ロマンスだけではもの足りない。愛する人を殺めなければならない心の葛藤でも良い。恋人が暗黒組織のドンでも良いじゃないか。現代人は、純愛に、萌えーるような+αを求めている。
TEXT BY 尾崎佳加
2006年06月22日 20:52
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