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2006年エミー賞 新旧ドラマの対決やいかに?

例年にない猛暑のLAだが、プールに飛び込みたくなる暑さになるとやってくるのがエミー賞。はやくも今年の受賞予想が新聞紙上を賑わせている。「24」や「ソプラノス」等のロングランドラマに混じって新しい番組がいくつも登場し見所満載の今年のエミー、王冠は誰の頭上に輝くのか。

今年のノミネート作品をざっと紹介してみよう。まず注目のドラマ部門から。
ノミネートされているのは5作品。世界中でブームを巻き起こした「24」、マフィアの家庭を描いた異色ドラマ「ソプラノス」、そしてホワイトハウスの内幕をドラマ化した「ウエストウイング」。この辺はエミーの常連だが、これに加えて新顔のドラマが二つノミネートされた。

一つは2004年開始のFOXの看板ドラマ「HOUSE」。主人公の医師、グレッグ・ハウスと、その若きスタッフたちが、医療に関わるミステリーを解決していくサスペンスドラマ。サイエンスの薀蓄を盛り込んだサスペンスとくれば、警察の鑑識を舞台にした「CSI」が思い浮かぶが、キャスティングの良さ、ストーリーの良さで、ややマンネリ化した「CSI」を上回る面白さ。すっかり人気番組にのし上がった。
そしてもう一つ、昨年3月にスタートした青春医療ドラマ?「Grey’s Anatomy」も今年の有力候補だ。シアトルの病院を舞台に、仕事に恋に、様々な悩みを抱えながらも奮闘する若いインターンたちの生き様を描いた作品だが、独特のサワヤカさが受けて、1,2を争う人気ドラマとなった。文句なしのノミネートで、ドラマ部門の最有力候補との呼び声も高い。ところでこの「Grey’s Anatomy」、新たなアジア系スターを生み出した。女性インターン役のクリスティーナを演じるサンドラ・オーだ。彼女は最優秀助演女優賞の本命となっている。

「24」「ソプラノス」「ウエストウイング」の旧勢力対、ニュージェネレーションの「HOUSE」と「GREY’S ANATOMY」の対決が今年の見所だが、「ウエストウイング」はすでに終了しているし、「ソプラノス」も今年で終わる。旧勢力中の最有力候補は「24」だが、「HOUSE」と「GREY’S ANATOMY」の新ドラマ勢も強力で、ホットな戦いになりそうである。個人的には何度もノミネートされながら一度も受賞していない「24」に獲ってほしいが、結果は蓋を開けるまで分からない。

それにしても、新作品が両方とも医者を主人公にしている点が面白い。ちょっと前までは弁護士ドラマのブームで、弁護士志望の若者がどっと増えたが、これからはメディカルスクールの受験者が増えそうな予感。

次にコメディー部門。文化的・言語的な背景が異なる国ではジョークが分かりづらいため、英語圏以外の国への輸出が難しい。そのため日本では馴染みのない作品が並ぶが、今年の注目株はCBSのシットコム、「Two and a Half Men」。主演はなんとあのチャーリー・シーンだ。自由気ままが信条の作曲家、チャーリー・ハーパーと、その弟と10歳の甥っ子の3人が繰り広げるドタバタコメディー。アメリカのコメディーによくあるパターンではあるのだが、チャーリー・シーンの絶妙のトボケ方が受けて、コメディー部門の有力候補になっている。「ウォール・ストリート」の主演等で、かつてはハリウッドの第一線級にいた彼も、映画では最近ヒットに恵まれていない。「過去の人」になりかけていたシーンを救ったのがこの「Two and a Half Men」なのだ。シーンはコメディー部門の最優秀主演男優賞にもノミネートされている。ちなみにお父さんのマーティン・シーンは「ウエストウイング」の大統領役でドラマ部門の主演男優賞に5回目のノミネート。親子でダブル受賞なんて事があるといいのだが。

という訳で、新旧ドラマの対決が見所になりそうな今年のエミー賞、皆で「24」の受賞を祈願しようではありませんか。


TEXT BY 岩下慶一

2006年07月28日 12:38

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