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大盛況!ArcLight ドキュメンタリー・ショーケース
夏休みシーズンに合わせて、大作映画が目白押しのBox Office。どの映画を観に行こうか、予定を調整するのも一苦労といった映画ファンの方々も少なくないはず。話題作が続々と公開されているここロサンゼルスでも、映画館前はチケットを求める人々で連日賑わいを見せています。新作などは、目の前で次の回が満席に…なんてちょっと悲しい出来事もありました。そんな中、映画フリーク達の手帳を更に真っ黒にしてしまいそうなイベントがいよいよスタート!ハリウッドのど真ん中に位置する大型映画館、ArcLightでは8月18日から8月24日の1週間、”Theatrical Documentary Showcase”が開催中です。
ArcLightは設備の良さで知られている劇場。 ゆったりとしたシート・クリアな音響・大スクリーンを囲むコロシアム型の座席配置は、観客に最高のプレゼンテーションをしてくれます。そんな申し分の無い環境のもとで行われているドキュメンタリー・ウィークも今年で10周年。そのクオリティーの高さに年々ドキュメンタリーファンを増やし続けています。今年は国内外で高い評価を受けたドキュメンタリー16作品がエントリーしています。ArcLightの多数ある劇場のうち2館を貸し切って、午前10時から最終回の午後10時前後まで、1日平均13作品がびっしりと上映されます。人気のある作品は毎日観られる計算です。
では、今イベントでの話題作をご紹介致しましょう。まずは、夫妻であるクリス・シェルダン監督とパティ・キム監督が共にメガホンを取った 「Abduction The Megumi Yokota Story」。横田めぐみさん拉致事件にまつわる真相をご家族のインタビューを交えて綴った作品です。日本でも話題になったので、すでに耳にされている方々も多いでしょう。こちらでも公開以前より各映画祭・批評家から絶賛されており、その注目度はかなり高いものでした。今イベントでは初日にスケジュールが組まれ、本編終了後には大きな拍手に包まれました。こちらではあまり認知されていない日本の拉致被害事件はこちらの観客の目にどのように映ったのか?それは、あの盛大な拍手が何よりも強く物語っています。
そして、以前にLAフィルムフェスティバルの記事で報じたエイミー・バーグ監督による「Deliver Us From Evil」も初日に公開されています。カソリック教会に属するオリバー・オグレイディ元牧師が、20年以上にも渡り幼児虐待をしていたという衝撃の事実。小児性愛者の彼がどのように破滅への道を突き進んでいったのかが、克明に描写されています。カソリック教会自体の腐敗や隠蔽工作を赤裸々に描いたこの問題作は、そのあまりの悲惨さと悲しみに途中で席を立つ観客もいました。LAフィルムフェスティバル・最優秀ドキュメンタリー受賞作品。思わず目を覆いたくなるような実態が102分に凝縮され、観る者に強い衝撃を与える一本です。
今年のArcLightドキュメンタリー・ショーケースは戦争や貧困、国交・宗教・人種問題について描かれた作品が中心でした。地元紙Los Angeles Timesは「多くの人々が普段見ることの無い”暗黒面”を垣間見ることが出来る1週間」と評しています。多くのフィクション・大作映画はメッセージをそのまま「答え」として発信しますが、一方のドキュメンタリー映画はその答えを観客個々人に考えさせる手法を用いるものが多いと思います。製作者の主観を押し付けられるのではなく、綿密に調査され裏付けられた真実をもとに、様々な角度からメッセージを受け止めることが出来るドキュメンタリー映画。今後も、本年度のショーケースで見られたような良作が生まれていくことを願わずにはいられません。
TEXT BY アベマリコ
ArcLightは設備の良さで知られている劇場。 ゆったりとしたシート・クリアな音響・大スクリーンを囲むコロシアム型の座席配置は、観客に最高のプレゼンテーションをしてくれます。そんな申し分の無い環境のもとで行われているドキュメンタリー・ウィークも今年で10周年。そのクオリティーの高さに年々ドキュメンタリーファンを増やし続けています。今年は国内外で高い評価を受けたドキュメンタリー16作品がエントリーしています。ArcLightの多数ある劇場のうち2館を貸し切って、午前10時から最終回の午後10時前後まで、1日平均13作品がびっしりと上映されます。人気のある作品は毎日観られる計算です。
では、今イベントでの話題作をご紹介致しましょう。まずは、夫妻であるクリス・シェルダン監督とパティ・キム監督が共にメガホンを取った 「Abduction The Megumi Yokota Story」。横田めぐみさん拉致事件にまつわる真相をご家族のインタビューを交えて綴った作品です。日本でも話題になったので、すでに耳にされている方々も多いでしょう。こちらでも公開以前より各映画祭・批評家から絶賛されており、その注目度はかなり高いものでした。今イベントでは初日にスケジュールが組まれ、本編終了後には大きな拍手に包まれました。こちらではあまり認知されていない日本の拉致被害事件はこちらの観客の目にどのように映ったのか?それは、あの盛大な拍手が何よりも強く物語っています。
そして、以前にLAフィルムフェスティバルの記事で報じたエイミー・バーグ監督による「Deliver Us From Evil」も初日に公開されています。カソリック教会に属するオリバー・オグレイディ元牧師が、20年以上にも渡り幼児虐待をしていたという衝撃の事実。小児性愛者の彼がどのように破滅への道を突き進んでいったのかが、克明に描写されています。カソリック教会自体の腐敗や隠蔽工作を赤裸々に描いたこの問題作は、そのあまりの悲惨さと悲しみに途中で席を立つ観客もいました。LAフィルムフェスティバル・最優秀ドキュメンタリー受賞作品。思わず目を覆いたくなるような実態が102分に凝縮され、観る者に強い衝撃を与える一本です。
今年のArcLightドキュメンタリー・ショーケースは戦争や貧困、国交・宗教・人種問題について描かれた作品が中心でした。地元紙Los Angeles Timesは「多くの人々が普段見ることの無い”暗黒面”を垣間見ることが出来る1週間」と評しています。多くのフィクション・大作映画はメッセージをそのまま「答え」として発信しますが、一方のドキュメンタリー映画はその答えを観客個々人に考えさせる手法を用いるものが多いと思います。製作者の主観を押し付けられるのではなく、綿密に調査され裏付けられた真実をもとに、様々な角度からメッセージを受け止めることが出来るドキュメンタリー映画。今後も、本年度のショーケースで見られたような良作が生まれていくことを願わずにはいられません。
TEXT BY アベマリコ
2006年08月24日 20:08
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