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速報!第64回ゴールデン・グローブ賞 結果発表
去る1月15日、ビバリーヒルズに位置するビバリー・ヒルトンホテルで、第64回ゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)の授賞式が行なわれました。アメリカの映画・TVの一大祭典であるこのセレモニーは、本コラムでも数回に渡ってお伝えして参りました。よく「アカデミー賞前哨戦」と銘打たれることが多いこの式典、昨年は4名のGG賞受賞俳優達がオスカーも合わせて獲得しています。けれども、アカデミー賞で最優秀作品賞に輝いた「クラッシュ」(邦題)は、GG賞において助演男優賞と最優秀脚本賞にノミネートされるも敗退…と、最終的には何が起こるか分からないのが実情なのですが。それでは、ドキドキワクワクの連続だった今年のGG賞の模様と、気になるその結果をいち早く、そしてどこよりも詳しくお伝えしたいと思います。
ウィル・スミス 写真提供HFPA
まず、今年の最優秀映画賞・ドラマ部門は「バベル」(邦題)に栄冠。授賞式の一番最後まで引っ張られたこの賞は、カリフォルニア州知事のシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーから発表されました。最多7部門にノミネートされていた本作品も、最終的に獲ったのはこの部門のみ。ですが、日本を含めた世界の3箇所・計5ヶ国語で繰り広げられる本作品の内容にちなんだアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「映画のパワーはユニークで、結局は感情というものに翻訳なんていらない。それが映画の美しさなんだ」という名コメントは、今年のセレモニーを締めくくるにふさわしいものでした。
また、「ドリームガールズ」(邦題)も3部門において大健闘しました。まずは今年の授賞式で一番最初に発表された最優秀助演女優賞・コメディ/ミュージカル部門に、ジェニファー・ハドソン。期待されていた日本人女優・菊池凛子さんは惜しくも受賞を逃しました。3年前に人気番組”American Idol (Fox)”(スター発掘番組) で惜しくも敗退したハドソンですが、そのパワフルな歌唱力と、新人とは思えない落ち着いた佇まいは確かに圧巻。昨年の最優秀助演男優賞獲得のジョージ・クルーニーからトロフィーを手渡されたハドソンは「今までずっと夢見て来たけど、こんなに大きな夢はかつて見たことない。私が想像してきたことの何もかもを超えてる」と号泣のスピーチ。黒人女優として史上2人目のゴールデン・グローブ受賞(ウーピー・ゴールドバーグが過去2度受賞)となりました。また、「ドリームガールズ」は最優秀映画賞・コメディ/ミュージカル部門と、最優秀助演男優賞・コメディ/ミュージカル部門も獲得。栄えある受賞者となったエディ・マーフィーは、GG賞において過去4回のノミネートを経て、今回めでたくも初受賞。ハマり役のシンガーを見事に演じました。今までのようなコミカルな一面も見せつつ、シリアスタッチな部分でも魅せる俳優として認められたようです。
最優秀主演男優賞・ドラマ部門は”The Last King of Scotland”(原題)のフォレスト・ウィテカーの頭上に。「レオ(ディカプリオ)、ウィル(スミス)、ピーター・オトュール、そして再度レオ(ダブルノミネートだったディカプリオを受けて)といった面々に混ざることが出来て、とてもハッピーだよ」と、ちょっと控えめにコメント。そんな彼が、ウガンダの独裁者であったイディ・アミン元大統領を力強く演じた本作品は「スモーク」(1995)や「ゴースト・ドッグ」(1999)に並ぶ、ウィテカーの代表作となりそうです。
最優秀主演男優賞・コメディ/ミュージカル部門は”Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan”(原題)のサシャ・バロン・コーエンに。昨年度、良い意味でも悪い意味(度重なる訴訟を含め)でも「ボラット旋風」を巻き起こしたコーエンは「僕はアメリカの暗黒面、醜い部分を見たね」とスピーチ。コメディアンらしく共演者とのからみを示唆したシニカルなコメントで、会場を笑いで包みました。
ドラマ映画部門とTVミニシリーズ部門で最優秀主演女優賞をダブル受賞したのは「クイーン」(邦題)と”Elizabeth I (HBO)”(原題)に出演したヘレン・ミレン。「観客が彼女に恋したんだから、この賞はエリザベス女王にふさわしいわ」と謙虚なコメントでしたが、今後エリザベス女王と言えばミレン!とでも言えそうなハマリ役での2冠。女王として、そして母親としての葛藤を見せたヘレンのエリザベス女王。コケティッシュかつチャーミングな表情も見どころです。
メリル・ストリープ 写真提供HFPA
最優秀主演女優賞・コメディ/ミュージカル部門は、これで6度目のGG賞獲得となる「プラダを着た悪魔」(邦題)のメリル・ストリープ。名女優としてまさに貫禄の受賞となりましたが、コメディ部門においては、実は今回が初。「みんなに知っておいて欲しいの。昨年は映画を観るのが楽しい1年だった…あなた達、ギャルのおかげでね」と、共演者・ノミネートした女優達に送った余裕のコメント。彼女がいたからこそ面白いと言っても過言ではない程の出来だった「悪魔」なる演技に、誰もが納得の受賞となりました。
最優秀監督賞は「ディパーテッド」(邦題)のマーティン・スコセッシが受賞。いつも早口な監督が更に「今日はいつもよりも早く喋るよ!」と、長々としたセレモニーにチクリとやりつつ、「(ジャック・ニコルソン含む名優達との撮影について)本当に素晴らしい時間だった!レオとは3回目だったけど、もっと一緒に出来るといいな」とコメント。スピーチにまで引き合いに出すとは、すでにディカプリオのお父さんみたいなスコセッシ監督なのでした。
最優秀外国語映画賞には「硫黄島からの手紙」(邦題)が、これまた納得の受賞。俳優・監督としても超ベテランであるクリント・イーストウッド監督は、最優秀助演女優賞を獲ったジェニファー・ハドソンのスピーチの一部を茶目っ気たっぷりにパクり、「君達にはこれが僕の自信にどうつながるか分からないだろうな」と始めました。「良い気分だ。この作品が紙上のものだった時、みんながみんなモノになるなんて思っていなかった」と、本作品が公開までこぎつけるのを支援して来た仲間達と、受賞の喜びを分かち合いました。
会場の様子 写真提供HFPA
TV部門では、ABCの圧勝とも言える受賞が続きました。昨今の人気ドラマは、ほとんどがABCで放送中のもの。この勢い、どこまで加速するのでしょうか?結果は、最優秀TVシリーズ・ドラマ部門を人気ドラマ”Grey’s Anatomy (ABC)”が、ミュージカル/コメディ部門では新作”Ugly Betty (ABC)”が受賞。昨年スタートの新ドラマだった”Ugly Betty”の主演女優であるアメリカ・フェレラは、最優秀主演女優賞・TVミュージカル/コメディ部門も獲得。彼女のビッグスマイルが会場に咲き「美は目に映るもののもっと奥深くにある」というテーマを見せつけました。大好きなTVシリーズが連続受賞ということで、筆者的には感無量といったところ。”24 (Fox)”や”Lost (ABC)”, “Prison Break (Fox)”や “Desperate Housewives (ABC)”などを筆頭に、アメリカンドラマが日本でも大人気ということで、eigafan.com読者の皆様にはこれらのGG賞獲得作品を「先物買い」しておくことを、強くオススメします。
最後に、映画界に貢献した者に贈られる「セシル・B・デミル賞」に、本年度は俳優・脚本家・プロデューサー・監督として知られるウォーレン・ベイティが選ばれました。トム・ハンクスがプレゼンターとして登場し、69歳となるベイティは会場の観客からスタンディング・オベーションで迎え入れられました。大女優であるアネット・ベニングの旦那様としても知られる彼は「アネットの旦那として控えめにやっていくのは簡単じゃないよ…(今後も)やってみるけど」とジョーク。「俺たちに明日はない」(1967)や「バグジー」(1991)などで活躍してきた名優の素顔は、かなりの愛妻家のようでした。
今回のGG賞の結果、皆さんにはどう映ったでしょうか? 1月28日に開催される、俳優達が選ぶ俳優達のためのセレモニー、第13回SAG (Screen Actors Guild)アワードや、2月25日に開催が迫る第79回アカデミー賞に、今回の結果がどう作用するのか?かなり楽しみです。更に詳しいGG賞の結果は、HFPA (Hollywood Foreign Press Association)公認のホームページからどうぞ!受賞者の☆マークの横のビデオマークをクリックすると、式典終了後のインタビューも視聴可。興味のある方々は是非そちらもご覧下さい。長いセレモニーを終えた受賞者達のあまりにお疲れな表情に、何だかちょっと同情…そして、ちょっぴり笑えちゃいます。
ゴールデン・グローブ賞 全受賞者リスト
TEXT BY アベマリコ
ウィル・スミス 写真提供HFPA
まず、今年の最優秀映画賞・ドラマ部門は「バベル」(邦題)に栄冠。授賞式の一番最後まで引っ張られたこの賞は、カリフォルニア州知事のシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーから発表されました。最多7部門にノミネートされていた本作品も、最終的に獲ったのはこの部門のみ。ですが、日本を含めた世界の3箇所・計5ヶ国語で繰り広げられる本作品の内容にちなんだアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「映画のパワーはユニークで、結局は感情というものに翻訳なんていらない。それが映画の美しさなんだ」という名コメントは、今年のセレモニーを締めくくるにふさわしいものでした。
また、「ドリームガールズ」(邦題)も3部門において大健闘しました。まずは今年の授賞式で一番最初に発表された最優秀助演女優賞・コメディ/ミュージカル部門に、ジェニファー・ハドソン。期待されていた日本人女優・菊池凛子さんは惜しくも受賞を逃しました。3年前に人気番組”American Idol (Fox)”(スター発掘番組) で惜しくも敗退したハドソンですが、そのパワフルな歌唱力と、新人とは思えない落ち着いた佇まいは確かに圧巻。昨年の最優秀助演男優賞獲得のジョージ・クルーニーからトロフィーを手渡されたハドソンは「今までずっと夢見て来たけど、こんなに大きな夢はかつて見たことない。私が想像してきたことの何もかもを超えてる」と号泣のスピーチ。黒人女優として史上2人目のゴールデン・グローブ受賞(ウーピー・ゴールドバーグが過去2度受賞)となりました。また、「ドリームガールズ」は最優秀映画賞・コメディ/ミュージカル部門と、最優秀助演男優賞・コメディ/ミュージカル部門も獲得。栄えある受賞者となったエディ・マーフィーは、GG賞において過去4回のノミネートを経て、今回めでたくも初受賞。ハマり役のシンガーを見事に演じました。今までのようなコミカルな一面も見せつつ、シリアスタッチな部分でも魅せる俳優として認められたようです。
最優秀主演男優賞・ドラマ部門は”The Last King of Scotland”(原題)のフォレスト・ウィテカーの頭上に。「レオ(ディカプリオ)、ウィル(スミス)、ピーター・オトュール、そして再度レオ(ダブルノミネートだったディカプリオを受けて)といった面々に混ざることが出来て、とてもハッピーだよ」と、ちょっと控えめにコメント。そんな彼が、ウガンダの独裁者であったイディ・アミン元大統領を力強く演じた本作品は「スモーク」(1995)や「ゴースト・ドッグ」(1999)に並ぶ、ウィテカーの代表作となりそうです。
最優秀主演男優賞・コメディ/ミュージカル部門は”Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan”(原題)のサシャ・バロン・コーエンに。昨年度、良い意味でも悪い意味(度重なる訴訟を含め)でも「ボラット旋風」を巻き起こしたコーエンは「僕はアメリカの暗黒面、醜い部分を見たね」とスピーチ。コメディアンらしく共演者とのからみを示唆したシニカルなコメントで、会場を笑いで包みました。
ドラマ映画部門とTVミニシリーズ部門で最優秀主演女優賞をダブル受賞したのは「クイーン」(邦題)と”Elizabeth I (HBO)”(原題)に出演したヘレン・ミレン。「観客が彼女に恋したんだから、この賞はエリザベス女王にふさわしいわ」と謙虚なコメントでしたが、今後エリザベス女王と言えばミレン!とでも言えそうなハマリ役での2冠。女王として、そして母親としての葛藤を見せたヘレンのエリザベス女王。コケティッシュかつチャーミングな表情も見どころです。
メリル・ストリープ 写真提供HFPA
最優秀主演女優賞・コメディ/ミュージカル部門は、これで6度目のGG賞獲得となる「プラダを着た悪魔」(邦題)のメリル・ストリープ。名女優としてまさに貫禄の受賞となりましたが、コメディ部門においては、実は今回が初。「みんなに知っておいて欲しいの。昨年は映画を観るのが楽しい1年だった…あなた達、ギャルのおかげでね」と、共演者・ノミネートした女優達に送った余裕のコメント。彼女がいたからこそ面白いと言っても過言ではない程の出来だった「悪魔」なる演技に、誰もが納得の受賞となりました。
最優秀監督賞は「ディパーテッド」(邦題)のマーティン・スコセッシが受賞。いつも早口な監督が更に「今日はいつもよりも早く喋るよ!」と、長々としたセレモニーにチクリとやりつつ、「(ジャック・ニコルソン含む名優達との撮影について)本当に素晴らしい時間だった!レオとは3回目だったけど、もっと一緒に出来るといいな」とコメント。スピーチにまで引き合いに出すとは、すでにディカプリオのお父さんみたいなスコセッシ監督なのでした。
最優秀外国語映画賞には「硫黄島からの手紙」(邦題)が、これまた納得の受賞。俳優・監督としても超ベテランであるクリント・イーストウッド監督は、最優秀助演女優賞を獲ったジェニファー・ハドソンのスピーチの一部を茶目っ気たっぷりにパクり、「君達にはこれが僕の自信にどうつながるか分からないだろうな」と始めました。「良い気分だ。この作品が紙上のものだった時、みんながみんなモノになるなんて思っていなかった」と、本作品が公開までこぎつけるのを支援して来た仲間達と、受賞の喜びを分かち合いました。
会場の様子 写真提供HFPA
TV部門では、ABCの圧勝とも言える受賞が続きました。昨今の人気ドラマは、ほとんどがABCで放送中のもの。この勢い、どこまで加速するのでしょうか?結果は、最優秀TVシリーズ・ドラマ部門を人気ドラマ”Grey’s Anatomy (ABC)”が、ミュージカル/コメディ部門では新作”Ugly Betty (ABC)”が受賞。昨年スタートの新ドラマだった”Ugly Betty”の主演女優であるアメリカ・フェレラは、最優秀主演女優賞・TVミュージカル/コメディ部門も獲得。彼女のビッグスマイルが会場に咲き「美は目に映るもののもっと奥深くにある」というテーマを見せつけました。大好きなTVシリーズが連続受賞ということで、筆者的には感無量といったところ。”24 (Fox)”や”Lost (ABC)”, “Prison Break (Fox)”や “Desperate Housewives (ABC)”などを筆頭に、アメリカンドラマが日本でも大人気ということで、eigafan.com読者の皆様にはこれらのGG賞獲得作品を「先物買い」しておくことを、強くオススメします。
最後に、映画界に貢献した者に贈られる「セシル・B・デミル賞」に、本年度は俳優・脚本家・プロデューサー・監督として知られるウォーレン・ベイティが選ばれました。トム・ハンクスがプレゼンターとして登場し、69歳となるベイティは会場の観客からスタンディング・オベーションで迎え入れられました。大女優であるアネット・ベニングの旦那様としても知られる彼は「アネットの旦那として控えめにやっていくのは簡単じゃないよ…(今後も)やってみるけど」とジョーク。「俺たちに明日はない」(1967)や「バグジー」(1991)などで活躍してきた名優の素顔は、かなりの愛妻家のようでした。
今回のGG賞の結果、皆さんにはどう映ったでしょうか? 1月28日に開催される、俳優達が選ぶ俳優達のためのセレモニー、第13回SAG (Screen Actors Guild)アワードや、2月25日に開催が迫る第79回アカデミー賞に、今回の結果がどう作用するのか?かなり楽しみです。更に詳しいGG賞の結果は、HFPA (Hollywood Foreign Press Association)公認のホームページからどうぞ!受賞者の☆マークの横のビデオマークをクリックすると、式典終了後のインタビューも視聴可。興味のある方々は是非そちらもご覧下さい。長いセレモニーを終えた受賞者達のあまりにお疲れな表情に、何だかちょっと同情…そして、ちょっぴり笑えちゃいます。
ゴールデン・グローブ賞 全受賞者リスト
TEXT BY アベマリコ
2007年01月18日 19:17
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