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子供たちが危ない?TVコマーシャルの洗脳効果

近年、アメリカでは子供たちのObesity(=肥満)や小児糖尿病が深刻化しています。校内からファーストフードやお菓子類、炭酸飲料の自動販売機を撤去しようとする動きも見られていますが、それでも数値は上がる一方。確かにロサンゼルスの街中でも、ぽっちゃりした子供たちが多く見られる気が。このような問題は一見、映画・TV業界にとっては無縁のお話にみえますが、新しく発表されたリサーチ結果がメディア全体を震撼させています。「TVコマーシャルなどの映像媒体が、子供たちに過度の情報を与えている。」この統計によって今後、そうしたTVコマーシャルがどんどん減っていき、各テレビ局のCM収入が激減するのではないかという声が挙がっています。70年代からアメリカで全面廃止となったタバコのCMのように、スナックやファーストフードのコマーシャルも見かけなくなっていくのでしょうか?
新しく発表された研究結果によると、アメリカの8歳から12歳の子供が最も多くTVで流れる食品系コマーシャルにさらされており、その数は一日に21本、年間で7600本に及ぶとか。10代は少し減って一日に17本、年間で6000本。2歳から7歳が最も少ないのですが、それでも一日に12本、年間を通して4400本もの「動く」広告を見ているという、驚くべき数字がはじき出されました。ちなみに、ここで換算された「食品系コマーシャル」とは、栄養学の視点からなるべく少な目の摂取が好ましいとされる類のもの。いわゆるファーストフードやスナック、スイーツや炭酸飲料などの高カロリー食品のCMが対象となっています。

この結果は、TV会社13局のコマーシャルをモニターして出された数字。2005年の5月後半から9月前半までに流されたCMの統計です。特に、人気アイドルや有名スポーツ選手、子役達を使っているものなど、キッズやティーンを対象としている高カロリー食品・飲料の宣伝は、2613種類にも上ったそうです。いかに、食品メーカーが若年層を対象にしてCM作りをしているのかがうかがえる数字とも言えるでしょう。

昨年11月には、マクドナルドやコカコーラ、ペプシを始めとする10社の大手食品メーカーが、新しい宣伝方法を検討すると発表。少なくとも彼らのコマーシャルの半数を、子供たちに健康的な食生活を促すものにすると発表したばかりでしたが、効果は未だ現れていない様子。今回発表された新しい統計を受けて、アメリカの映像業界は「もっと決定的な対策を練るべきだ」というプレッシャーにさらされることになりました。先週末には、連邦通信委員会(=FCC:Federal Communications Commission)・TV業界・食品業界の重役達が集まって、初の大型会議が催されました。

主婦層に人気の昼メロドラマやニュースの間には家庭用品のCMが多く流れるように、TV局は番組のターゲットに合わせてCMを選ぶのがもはや常識。キッズ向けの番組の間には、玩具などとともに多くの食品系コマーシャルが見られます。確かに、どの宣伝も美味しそうだったりポップな音楽が耳に残ったり、オトナの筆者でも魅力を感じてしまうことが多々ありますが、もっとピュアで何事にも興味津々な子供たちにしたら、更に購買意欲を掻き立てられるのではないでしょうか。最も多くTVコマーシャルを見るとされた8歳から12歳の子供たちは、ちょうどお小遣いを持ち始める「最も若い消費者」だとする声も。一番の「顧客」が健康面での不安を抱える今、これからTV局や食品メーカーがどのような対策を練っていくのか。先日の会議の結果、そして彼らの今後の動きが注目されそうです。


TEXT BY アベマリコ

2007年04月10日 14:14

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