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もうひとつのアカデミー賞:Student Academy Awards

このところロサンゼルスは連日の快晴。日中は日差しが強く気温もぐんぐん上昇し、一足早い夏の訪れを感じます。そんな中、6月9日にアカデミー賞が華やかに開催されました。「今の季節にアカデミー賞?」と首をひねる方々も多いはず。ですが、これもれっきとしたアカデミー賞。オスカーを催す映画芸術科学アカデミー(AMPAS: Academy of Motion Picture Arts and Science)による学生映画の祭典「第34回学生アカデミー・アワード」です。

今年で34回目となるこの式典が始まったのは、1973年。映画界の更なる発展は、まず映画学科で学ぶ生徒のバックアップから!という声がAMPAS会員の間で高まり、学生部門のアカデミー賞開催の運びとなりました。第1回目の授与式は、AMPASの本部に隣接するサミュエル・ゴールドウィン・シアターで豪華に開催。全米屈指と言われる映画上映用のスクリーンと音響設備が整った会場で、本家本元のアカデミー賞さながらにレッドカーペットが敷かれ、受賞者やプレゼンターが一堂に会する一大イベントとなっています。
34年の歴史を持つ学生アカデミー、すでに多くの有名監督を輩出しています。「バック・トゥ・ザ・フューチャー(邦題)」や「フォレスト・ガンプ/一期一会(邦題)」で知られるロバート・ゼメキス監督や、「ドゥ・ザ・ライト・シング(邦題)」や「マルコムX(邦題)」などで黒人映画を世界に広めたスパイク・リー監督、そして「トイ・ストーリー(邦題)」や「カーズ(邦題)」など、大ヒットアニメーションを次々に送り出すジョン・ラセター監督。特に、ラセター監督は「学生アカデミー賞」を2年連続で受賞という快挙を成し遂げています。様々なジャンルにおいて才能を発掘してきた今セレモニーは、映画制作を志す学生達にとっての憧れとなっています。

さて、本年度の栄冠に輝いたのは、映画の名門、ニューヨーク大学やコロンビア大学、スタンフォード大学の学生11名。アニメーション・ドキュメンタリー・物語の3部門に分かれており、ゴールド・シルバー・ブロンズメダルがそれぞれ設けられています。ちなみに、賞金は金=5000ドル、銀=3000ドル、銅=2000ドル。また、ゴールドメダルのみが用意される注目のオルタナティブ部門には、ニューヨークのSchool of Visual Artsに在籍するクン・イ・チャンさんの作品、”Fission”が受賞。そして、唯一のアメリカ国外枠である外国部門。計33ヶ国、最終選考に残った49作品の中から栄えある受賞となったのは、ドイツのトーク・コンスタンティン・ハベルンさんによる”Nevermore”でした。

今年のプレゼンターは、「あの頃ペニー・レインと(邦題)」などに出演、現在「サーフズ・アップ(邦題)」が公開中のズーイー・デシャネル。授賞式に出席した学生達は、セレモニーを通して業界のエグゼクティブ達に対面、様々なイベントにも参加しました。今回受賞した学生たちの中から、これからのハリウッドを背負って立つ大監督が登場するかも?年始恒例のアカデミー賞のみならず「もうひとつのオスカー」も要チェックです。

TEXT BY アベマリコ

2007年06月14日 17:38

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