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あのスタジオやアトラクションが… 移りゆくハリウッド
何十年もの間、映画とエンターテイメントの都として君臨し続けるハリウッド。多くの名作やスターを輩出し、数々の伝説を生み出してきた歴史を持つかたわら、時代の流れに極めて敏感なところもこの街の特徴かもしれません。そんな目まぐるしく移り変わるこの地に、また新しい「変化」を告げるニュースが飛び込んで来ました。
↑数々の名作を送り出してきたトリビューン社のスタジオ
まずは、由緒あるスタジオの転売から。名作映画のタイトルとして一躍有名になり、ハリウッド・シンボルのひとつにふさわしいサンセット大通りには、多数の映画スタジオや製作会社が立ち並んでいます。中でも一等地にそびえるのが、トリビューン社が所有するスタジオ。広大な敷地とクラシックな白色の外観がひときわ目を引く建物に、現在は傘下のKTLAテレビがオフィスを構えていますが、先日この敷地が売りに出されることが決定。昨今のハリウッドでは、古くからある建造物をコンドミニアムや店舗として運用するケースが増えていますが、(その方が映画を作るより利益が大きい)今回の売り渡しも似たようなものだとか。ちなみに売り値はまだ確定していませんが、1億7500万ドルは下らないだろうと見積られているようです。
↑KTLAのシンボルの鉄塔
本スタジオは、もともと1919年にワーナー・ブラザーズによって建てられたもの。世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー(1927年/邦題)」の録音が行われたのも、このスタジオでした。その後、1954年にパラマウント・ピクチャーが本社の別館として購入。その2年後に、当時はパラマウントの傘下だったKTLAが引っ越して来ました。そして1964年には、カウボーイ映画のスターだったジーン・オートリーがKTLAとスタジオをまるごと購入。1986年になって、現在のトリビューン社に受け渡されたのでした。ミュージカル映画を始め、数々の名作が生み出されたスタジオですが、結構波乱万丈の歴史を持っているのです。
そしてもうひとつのニュースは、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドから。1993年の運行より、延べ6100万人もの人々に愛されたアトラクション「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が先日9月3日付けで終業に。映画の製作と脚本を努めたボブ・ゲイルと「ドク」ことクリストファー・ロイドも駆け付け、当時は最先端だったオムニマックス(現在のIMAX DOME)を使った映像と設備を楽しんでいました。残念なことに、これに合わせて展示されていた1981年型デロリアンも撤去されるとか。この跡地には、今年の夏に初の映画バージョンが大ヒットしたTVアニメシリーズ「シンプソンズ(邦題)」の新アトラクションが2008年に登場する予定だそうです。個人的にも、小学生の頃に初めて夢中になった映画だっただけに、このニュースには感慨もひとしお…。今のキッズは、デロリアンよりもシンプソン一家に親近感があるのでしょうか?ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは現在も存続しているようですが、今や本家のアメリカでは体験できなくなってしまった貴重なアトラクションです。
ロサンゼルスの名所、チャイニーズシアターに刻まれたスターサインに見られるような歴史と伝統を守りながらも、どんどん変化しているハリウッド。こうした時の移り変わりに臨機応変な姿勢も、ハリウッドが常に「エンタメ天国」であり続ける所以なのかもしれません。
TEXT BY アベマリコ
2007年09月07日 13:14
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