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アメリカTVの祭典:Emmy Awardsの結果は?
今年もまたこの時期が到来!先日9月16日、Academy of Television Arts & Science (ATAS) が主催する第59回エミー賞が華々しく開催されました。昨年と同じくロサンゼルスのShrine Auditoriumを会場に、6000人以上もの俳優陣・TV番組スタッフ達で埋め尽くされたアメリカTVの一大祭典。本年度はFoxにて全国放送されました。終わってみれば、今年のプライムタイム・エミーは主要部門の受賞番組がきれいに分かれる大混戦に。それでは、詳しい模様と結果をレポートしていきます。
↑エミーの季節には、街角がこのバナー(旗)で賑わう
2007年度のエミー賞のモットーはGreen Emmy。環境問題を提唱する元アメリカ副大統領アル・ゴア氏も来場し、レッドカーペットならぬブルーカーペットはペットボトルをリサイクルしたものだったようです。今まではとにかくゴージャス!が売りだったハリウッドのイベントも、これからは環境への配慮を考えたものになっていくのかもしれません。
また、セレモニーに先駆けて話題となっていたのが、番組司会者に初抜擢されたライアン・シークレスト。主に、朝の人気ラジオ番組のパーソナリティとして、またモンスター番組” American Idol (Fox)”の司会者として知られています。なかなかキュートなルックスの彼ですが、昨年のホストだったコナン・オブライエンや2005年のエレン・デジェネレスのようなコメディアンではない為に「番組を盛り上げられるのか?」といった懸念が抱かれていましたが、持ち前の滑舌の良さで高いハードルをクリア。来場していたオブライエン氏からも、お褒めの言葉を頂いたようです。ただ、中盤になってから中世を意識したコスチュームで登場した彼にはいささか疑問が残るところ。ですが、彼に向けられているゲイ疑惑を払拭するかのような「これならゲイっぽく見えないでしょ?」というコメントは、ゴシップ好きの観客を沸かせました。
それでは、気になる結果を見てみましょう。まず、最優秀シリーズに輝いたのは、ドラマ部門に「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア ( 邦題・HBO)」。1999年の放送開始から8年間も続く超人気番組となり、今年に入って最終回を迎えた本作。セレモニーの中でも度々ジョークにされたほど、唐突でナゾの多いなエンディングに熱狂的ファンの間では賛否両論が巻き起こっていましたが、そんな意見もこれで一蹴されるかも。一方のコメディ部門には、昨年から始まったシチュエーションコメディ”30 Rock ( NBC)”が初受賞。一時は視聴率の低迷に悩んだこともありましたが、サタデー・ナイト・ライブ出身のティナ・フェイが出演・プロデュース、そして時折り脚本家も務めるなどの大活躍で、堂々の最優秀賞獲得となりました。ちなみにこのティナ・フェイ、日本ではまったく知られていませんが、アメリカではかなり有名なコメディエンヌ兼コメディーライターなのです。
最優秀主演俳優賞・ドラマ部門には、「ボストン・リーガル (邦題・ABC)」よりジェームス・スペイダー。壇上からのスピーチで「僕はオペラなんかもよく観に行くけど、ここの座席は良くないよ」と、長丁場の式典に対して冗談まじりにチクリ。その発言に、会場から拍手が巻き起こったのが印象的です。そして、コメディ部門には「エキストラ:スターに近づけ!(邦題・HBO)」からリッキー・ジャーヴィスが受賞。残念ながら来場していなかった彼の代わりに、同じく候補者だった”The Office (NBC)”のスティーブ・カレルが超ハイテンションでトロフィーを受け取る姿には、とにかく大爆笑でした。
最優秀主演女優賞・ドラマ部門には、”Brothers & Sisters (ABC)”からベテラン女優、サリー・フィールド。世の中のママ達を応援しながら、戦争などの政治的な意見もからめたスピーチを披露した彼女には、会場から大きな拍手が贈られました。コメディ部門には、「アグリー・ベティ(邦題・ABC)」よりアメリカ・フェレラ!過去のコラムで何度も取り上げている、筆者の大好きなTVシリーズからの受賞です。昨年のスタートから数々の賞レースを総ナメにしてきている彼女ですが、エミー賞を持ち帰るのはもちろん今回が初めて。緊張の面持ちで壇上に上がりましたが、相変わらずのチャーミングなビッグ・スマイルを振りまくフェレラでした。
また、今年のエミー賞ではパフォーマンスもいろいろと話題に。まずはじめに、最優秀特別番組、最優秀監督賞・特別番組部門、最優秀パフォーマンス・特別番組部門で3冠となったトニー・ベネットが、クリスティーナ・アギレラと競演しました。おめでた説が噂される彼女は、アメリカ音楽史の伝説とされるベネット氏とのコラボレーションにも堂々のパフォーマンスを披露。他にも、トニー賞受賞のブロードウェイミュージカル”Jersey Boys”のキャストも登場しました。そして、先週のMTV・ビデオミュージックアワードでは無冠に終わり、自分への待遇の悪さに「もうMTVには出ないっ!」とまくし立てたカニエ・ウェストもゲスト出演。Foxでこの夏にスタートした”Don’t Forget the Lyrics!”をパロディ化したステージで、”The Office”の人気俳優レイン・ウィルソンと対決しちゃいました。このリアリティーショーは、日本で放送されていた「カラオケを最後まで歌えたら100万円」にちょっと似た番組。今回のお題はカニエ自身の”Stronger”で、結果はウィルソンが勝ってしまうという具合に。カニエが、”I never win.(俺、絶対勝てないんだ)”と自虐的につぶやくジョークには、笑いが起きながらもあまりに本当のこと過ぎてやや微妙…。今後のカニエを見守りたいと思います。
大盛況に見えた今年のエミー賞ですが、過去ワースト2位の視聴率だった模様です。昨年も前年比で14%の落ち込みを見せており、ATASには宿題が増えそうな予感。9月末から始まるシリーズや新エピソードに期待したいと思います。ここには載せきれなかった各受賞者・作品は、下記の公式ページからご確認下さい。
Primetime Emmy Awards 公式サイト:
http://www.emmys.org/awards/primetimeawards.php
TEXT BY アベマリコ
2007年09月20日 16:34
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