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カリフォルニア最大級のアジアン映画祭:San Diego Asian Film Festival

日本と比べてしまうと、どうしても四季に乏しいロサンゼルスですが、ここのところすっかり日も短くなり肌寒くなってきました。そんな中、ハリウッドから車で約2時間南へ足を延ばしたサンディエゴでは、カリフォルニア州で最も大規模とされるアジア系映画祭「San Diego Asian Film Festival」が開催中です。もちろん、日本からも「あの作品」がエントリー。今回は、10月11日から8日間行われている本映画祭を特集したいと思います。


今年で第8回目を迎えるサンディエゴ・アジアンフィルム・フェスティバルは、ハザードセンター内のウルトラスター・ミッション・ヴァリーで開催中。アメリカ国内はもとより、日本を含む世界12カ国から集められた作品を上映しています。その総数は、長編20本を合わせた計130作品。アジアン・アメリカンの方々が製作に携わったもの、監督・脚本家・テーマがアジアに関連するものを厳正に審査し、その難関を突破した長編・短編が一挙に公開されています。

初日を飾ったのは、今年1月に行われたサンダンス映画祭でも注目を集めた”Finishing the Game (原題)”。1973年、32歳の若さでこの世を去ったブルース・リー主演の「死亡遊戯 (邦題/1978)」をモチーフにしたコメディです。監督は、2002年公開の”Better Luck Tomorrow (原題)”で一躍時の人となったジャスティン・リン。本作は、台湾生まれのアジアン・アメリカンである監督の最新作です。ちなみに彼は、本フェスティバルの第1回目にも入選していたとか。知名度がグンと上がってのカムバックとなりました。

今年の注目作品のひとつは、ニューヨーク在住のシーチェン・チェン監督による”Dark Matter (原題)”。1991年に実際起こった事件をもとに描かれた話題作です。アメリカの大学で物理学を学ぶ優秀なアジア人学生が翻弄されるのは、人種やアイデンティティーの壁。衝撃のエンディングに向かう彼の傍らでサポートするのは、何とあのメリル・ストリープです。難しいテーマであると同時に、大女優を迎えての堂々たる監督ぶりは、まさか本作が長編デビューとは信じ難い出来栄えとなっています。


気になる日本からの出品は、昨年の各賞を総ナメにした「フラガール (洋題:Hula Girls/2006)」、岩井俊二が製作・脚本に参加して話題となった「虹の女神 (Rainbow Song/2006)」に加え、LAでもすでに数回上映されている「雪に願うこと (What the Snow Brings/2006)」の3本。短編部門には、以前本コラムで特集したシュール・ミステリー「無 (Mu/2007)」がまたも映画祭入選の栄誉を果たしました。更に、少女の視線を通して日本のお盆を描いた感動作「千代のお迎え (Chiyo/2000)」も登場。どれも日本独特の視点や感性を持つと共に、それぞれ異なる個性が光るラインナップで、アジア映画を見慣れない観客達の反応も上々。感動は世界共通言語なのだ!と、改めて感じた筆者なのでした。

また、本フェスティバルで毎年選ばれるのが生涯功労賞。本年度はスタートレック・シリーズでお馴染みのジョージ・タケイ氏に贈られました。授賞式・ディスカッションには多くの観客が来場し、スタートレックファンのみならず、今秋から日本でも放送開始の「ヒーローズ (邦題)」にハマってる人々も大興奮でした。ネタバレになってしまうので多くは語りませんが、タケイ氏はヒーローズにもとても重要な人物として渋く登場しますので、この人気ドラマが気になる方々は乞うご期待!

アメリカ国内におけるアジアン・アメリカン、アジア諸国に対する理解を深め、ステレオタイプを打破しようと始められた「サンディエゴ・アジアンフィルム・フェスティバル」。近年、ハリウッドではアジア系作品への関心が高まっており、今後のクリエイター達や俳優の更なる活躍が期待できそうです。会場の様子や数日後に発表される予定の各賞などは、下記のホームページからご確認ください。

San Diego Asian Film Festival公式ホームページ』: http://www.sdaff.org/festival/2007/index.php

TEXT BY アベマリコ

2007年10月18日 13:31

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