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秋のTVシーズン到来!今年の新作は?

日本で秋といえば、読書・スポーツ・食欲…なんて言葉が連想されますが、アメリカでは新番組が一挙に勢揃いする時期。今年も、TVっ子達がワクワクしてしまう季節がやって来ました。根強いファンを持つドラマの新シーズンを含め、2007年も数々の新作がお目見え。今年の傾向とそれぞれのプロフィールを合わせ、じっくりとご紹介していきたいと思います。


↑ビルの壁面に掲げられたヒーローズの広告。
この季節はテレビのパブリシティーが多くなる。

今年は、昨年スタートの”Heroes”(NBC)や”Ugly Betty”(ABC)などの大ヒット作に比べ、いまひとつ顕著なブレイクが無かった模様。NBCのSFアクション”Bionic Woman”と、2005年の開始から爆発的な人気を誇る”Grey’s Anatomy”(ABC)のスピンオフ、”Private Practice”(ABC)がまずまずの出だしといったところだったようです。一方、新シリーズとして戻って来た連ドラの勝者は、ともにABCより”Desperate Housewives”と元祖”Grey’s Anatomy”、CBSの”CSI: Miami”(CBS)や”ER”(NBC)辺り。根強いファンを持つ人気作品たちの圧勝でしたが、それでも去年の初回視聴率と比べると、各自が少々のダウンとなってしまいました。これは、昨年より10%増で家庭に普及しているDVR (Digital Video Recorder=HDレコーダー)により、オンタイムでの視聴者が減ったためではないかと推測されています。


2007年度のテーマを挙げるなら、オタクとマイノリティー。本年度も絶好調、前述の”Heroes”や”Ugly Betty”に見られる要素が、今年の新ドラマにはふんだんに盛り込まれています。まずは「オタク部門」。”Heroes”のメインキャラクター、マーシー・オカさん演じるヒロのような冴えないキャラが主人公になったのは、”Chuck”(NBC)と”Reaper”(CW)の2本。”Chuck”は、その名前がタイトルとなる主人公チャックの脳に突然スーパーコンピューターが内蔵されてしまい、そんな彼をCIAとNSAなるエージェントからやって来た女性達が観察するというアクションコメディ。一方の”Reaper”は、主人公サムが21歳の誕生日を迎え、実は自分の魂が悪魔に売られていたことを知ります。スーツ姿のおっさんデビルの下で、色んな指令を出されながら奮闘するサムを中心に物語は進行します。両作品とも、どこにでもいそうな青年がメイン、後々恋が芽生えそうな女性が登場するのも共通点です。まるでスパイダーマンのようにうだつのあがらない男の子が成長していく姿が見どころとなっています。最近は映画界でも、”Knocked Up (2007)”や”Superbad (2007)”のヒットに見られるように、パッとしないオタクキャラがとにかく大ブーム。もしかしたら、これからはイケメンよりも彼らの方がカッコイイ!なんて時代が来ちゃうかもしれません。

そして、メキシコ系アメリカ人ベティーが大活躍する”Ugly Betty”のような「マイノリティー部門」には、更に多くのエントリーが。カトリーナ後のニュー・オーリンズにある黒人コミュニティを舞台に描かれるクライムドラマ”K-Ville”(FOX)や、現代に暮らす3人の原始人が差別と戦う”Cavemen”(ABC)、キューバの家族が犯罪組織に巻き込まれてしまうサスペンス”Cane”(CBS)と、パキスタンからの交換留学生がアメリカの片田舎にホームステイする物語”Aliens in America”(CW)、それとは逆に、アメリカの白人一家がアフリカに転勤となって様々なアクシデントにあうコメディ”Life is Wild”(CW)など、とにかく今年のドラマは扱う人種や地域が多岐に渡っています。未だ白人俳優やクリエイター達が多くを占めるアメリカのエンタメ業界ですが、こういった動きは変化が着実に訪れている兆し。例えば、これまた”Heroes”のように日本語がドラマに登場したりするのは、多少ぎこちなくても日本人としてはやっぱり嬉しいもの。他民族国家アメリカが、TVドラマにもどんどん反映される時代が訪れたのかもしれません。

また、今では数え切れないほどになったリアリティーショーの新作もスタートしています。中でも目立っていたのがCBSの”Kid Nation”。こちらは、邦画「ぼくらの七日間戦争」を彷彿とさせる、子供達だけでキャンプ生活をサバイバルしていく設定です。また、”Kitchen Nightmares”(FOX)と題し、有名シェフが繁盛していないレストランを立て直すという番組もスタート。更に、今までも 人気のあったスーパーモデル発掘番組”America’s Next Super Model”(CW)や、筆者も大好きな”Dancing with the Stars”(ABC)も新シリーズを開始しました。ちなみに、この芸能人が社交ダンスバトルを繰り広げる番組の今回のスターは、前回のアイアン・ジーリングに続き「ビバリーヒルズ高校・青春白書(邦題)」からケリー役だったジェニー・ガースが登場。3人の子供のママになった今でも、あの可愛らしい高音ボイスは健在です。他にも、生まれた赤ちゃんがエディー・マーフィーとの子供だと証明する為にDNA鑑定までした…というドロドロ劇を繰り広げた元スパイス・ガールズのメル・Bも参戦。こちらも、昨年同様の盛り上がりが期待できます。

一気にご紹介して来ましたが、これでも数ある新番組のほんの一部。何百チャンネルもあるケーブルTVに多くの家庭が加入する、テレビ大好き人間が集うアメリカならではのボリュームとなっています。そんな中で、シーズン終了後に笑うのはどの番組となるのか?これからも本コラムでは、人気のTVシリーズをどんどん取り上げていこうと思いますので、お見逃しなく!

TEXT BY アベマリコ

2007年10月04日 15:22

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