« ゴールデン・グローブ賞賞候補者:発表されるも賞レースに暗雲…? | メイン | オリバー・ストーン、人質救出に乗り出す »
2007年総まくり!ベストムービーTop10
クリスマスも終わり、一気に年の瀬ムードが高まってきました。今年一年を振り返ると、2007年も「映画の当たり年」。
各誌が厳選するベストフィルムには、話題をさらった作品達がズラリと並んでいます。専門誌によるマニアックなランキングなど、数あるチョイスから最も一般的な印象を受けたのがこちら。
ポータルサイトmsn.comのライター達が選ぶ「2007年度:映画Top10」を見てみましょう。
●第10位「レミーのおいしいレストラン」(原題:Latatouille / Disney)
シンプルかつ楽しいファミリー向けアニメが、堂々10位にランクイン。「オリジナリティが無くなった」と言われる昨今のハリウッドに、一大CGI製造工場 Pixarが新風を吹き込みました。監督/脚本を務めるのは、新アニメーション界の巨匠ブラッド・バード。画面狭しと駆けずり回るネズミのレミーはもちろん、実際にスタッフが料理学校に入門してまで再現したという美味しそうなお料理にも注目です。
●第9位「ジェシー・ジェームズの暗殺」(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford / Warner Brothers)
製作/主演のブラッド・ピットによるご指名、アンドリュー・ドミニク監督の長編2作目となる叙情的なウエスタン。ここまでネタをバラすのも珍しい原題ですが、ヒーロー暗殺の光と影がデリケートに描かれています。「懸賞首」ジェームズを盲目的に崇拝する男フォード役をケイシー・アフレックが好演。”Gone Baby Gone”で監督デビューを果たした兄ベン同様、2007年はアフレック兄弟が大活躍でした。
●第8位 “Into the Wild (原題)”/ Paramount Vantage
個性派俳優ショーン・ペンが監督と出演、原作「荒野へ」の脚本化にも携わった意欲作。過去を捨ててアラスカへと乗りこむ青年を描いた本作は、パワフルな映像が見どころです。何が彼を荒野へと駆り立てたのか、厳しい自然とマテリアル・ワールドの対比によってじわじわと明らかにされていきます。
●第7位 “Margot at the Wedding” / Paramount vantage
個性的なキャラクター描写が話題の、ノア・バームバック監督/脚本によるコメディ・ドラマ。ニコール・キッドマン独特の「暗さ」が、本作のグロテスクな笑いに絶妙にマッチしています。思春期の息子や久々に再会する妹との微妙な空気は、こちらに伝わってくる程にリアル。ちなみに、エキセントリックな妹を演じたジェニファー・ジェイソン・リーは、監督の奥様です。
●第6位 “I’m Not There” / The Weinstein Company
アメリカが誇るシンガーソングライター、ボブ・ディランを描いた本作は、ケイト・ブランシェットやリチャード・ギアを始めとする6名のアクター達がディランを熱演。ひとりのアーティストのペルソナ、彼が20世紀に残した功績に合わせ、当時の文化が色濃く反映されたドキュ・フィクションに仕上がっています。
●第5位「潜水服は蝶の夢を見る」(米題:“The Diving Bell and the Butterfly” / Miramax Films)
現代アーティストとしても著名なジュリアン・シュナーベル監督が、フランスのジャン=ドミニク・ボビー氏による自叙伝を映画化。脳卒中からロックド・イン症候群(全身麻痺、大脳活動は正常)に見舞われた氏が、病床にて左目のまばたきのみで一冊の本を完成させていく姿が描かれます。脳裏をかすめる思い出や幻想、突きつけられた現実とが悲しくも美しく交錯する一本です。
●第4位「つぐない」(Atonement / Focus Features)
2005年の「プライドと偏見」で鮮烈な長編デビューを果たしたジョー・ライト監督が、キーラ・ナイトレイなどの同キャスト・スタッフを再集結させた第2作目。監督の演出、撮影監督の手腕、キャストの手堅い演技など、多岐に渡っての高評価となっています。詳しいあらすじやキャストなどは、本サイトの【おすすめ新作】からじっくりとどうぞ!
●第3位 “There Will Be Blood” / Paramount Vantage
奇才ポール・トーマス・アンダーソンが製作/監督、原作の脚本化にも参加した話題作。これまでの難解とも言える作風を残しつつ、更にポリティカルな視点を加えています。何もかもコントロールしようとする人間、欲に支配された人間ほど恐ろしいものはないと思わされる衝撃的な作品。幾重にもなる感情の複雑さを体現した名優ダニエル・デイ=ルイスから目が離せなくなります。
●第2位「ゾディアック」(Zodiac / Paramount Pictures)
60年代後半、実際にサンフランシスコで起こった未解決の連続殺人事件をもとに描かれたサスペンス・スリラー。シリアルキラーを扱わせたら天下一品、「セブン (1995)」のデヴィッド・フィンチャー監督の最新作。当時の混沌としたアメリカ社会を平行させ、単なる変質的事件にとどめていない辺り、第2位に食い込んだのも納得です。
●第1位「ノーカントリー」(No Country for Old Men / Miramax Films)
コーエン兄弟にとって初となる文学作品の脚本化は、映画ならではの視覚&聴覚のコラボレーションが存分に楽しめます。無駄なものを一切排除、洗練された映像の連続に舌を巻くこと間違いなし。感傷的なBGMや派手なCGIに慣れきった今日の観客に、Filmの原点を教えてくれるような作品となっています。
ざっとご紹介してきた2007年度の映画Top10。筆者としては、納得も疑問もある10作品となりました。
年が明ければ、本格的な賞レースのスタート。見逃していた作品のチェック、見に行くべき映画のリスト作りもお忘れなく!
最後になりましたが、今年も一年間ご愛読ありがとうございました。2008年も、ワクワクドキドキするような映画がたくさん登場しますように。それでは皆様、Happy New Year!!
TEXT BY アベマリコ
2007年12月27日 16:00
この記事へのトラックバックURL:
http://blog.eigafan.com/cgi-bin/mt-tb.cgi/332
毎週木曜日更新