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ゴールデン・グローブ賞賞候補者:発表されるも賞レースに暗雲…?
去る12月13日にアナウンスされたゴールデン・グローブ賞候補。リストには、先日の各批評家協会によるセレクションとは一味違った作品が見受けられました。今回は、2007年度のアメリカ映画/テレビの総決算となるエントリーに合わせ、今週月曜日に発表されたばかりの気になる「速報」をお伝えしていきます。
来年1月13日に開催予定の第65回ゴールデン・グローブ賞(以下ゴールデン・グローブ賞賞)。今回の候補リストでは、キーラ・ナイトレイとジェームズ・マカヴォイ共演の”Atonement (原題)”<「つぐない」(邦題)>が、作品賞ドラマ部門を含む最多7部門ノミネートと大健闘しています。それを追うのが、トム・ハンクス主演、作品賞コメディ/ミュージカル部門・主演男優賞を含め5部門にエントリーの”Charlie Wilson’s War”。本作からの助演男優賞候補であり、オスカー俳優であるフィリップ・シーモア・ホフマンは、コメディドラマ”The Savages”でも同賞にノミネートされています。そんな実力派俳優の女優版が、ケイト・ブランシェット。今や賞レースの常連となった彼女は、1998年版の続編となる「エリザベス:ゴールデンエイジ(邦題)」で主演女優賞に、異性にもかかわらずボブ・ディランに扮した(しかも激似です!)”I’m Not There”からは助演女優賞にWノミネートされました。
先の各批評家協会賞での「お気に入り」となった”There Will be Blood”と「ノーカントリー」は、ともに作品賞ドラマ部門にエントリー。それぞれ、主演男優賞のダニエル・デイ=ルイス、助演男優賞のハビエル・バルデムもしっかり名を連ねています。上記4作品に加えて作品賞にノミネートされたのは、ドラマ部門にデンゼル・ワシントン&ラッセル・クロウが豪華共演を果たした「アメリカン・ギャングスター」、ジョージ・クルーニーが同名のフィクサーに扮する”Michael Clayton”、ヴィゴ・モーテンセンとナオミ・ワッツ共演の米国・カナダ・イギリス合作映画”Eastern Promises”、またまたデンゼル・ワシントンが昨年のオスカー受賞者フォレスト・ウィテカーと共演した”The Grate Debaters”。本年度のドラマ部門は、異例の7作品が入り混じる大混戦となっています。コメディ/ミュージカル部門には、ビートルズの名曲が随所に散りばめられた歌劇”Across the Universe”、日本でも大ヒットとなった「ヘアスプレー」、先日AFI Festの記事でお伝えした話題作”Juno”、ジョニー・デップが再度ティム・バートン監督とタッグを組んだ「スウィーニー・トッド:フリート街の悪魔の理髪師」がノミネートされています。
映画オンリーのアカデミー賞とは異なり、TV部門も選出されるのがゴールデン・グローブ賞賞。ともに今年スタートした新作ドラマ”Pushing Daisies (ABC)”と”Damages (FX)”が作品賞コメディ、ドラマ部門にそれぞれノミネートを果たしました。実際の視聴率はイマイチ振るわなかった2作品ですが、根強いファン曰く「かなり面白い」。作り込まれた内容に、高評価が集まりました。また、人気ドラマ”Grey’s Anatomy (ABC)”や”30 Rock (NBC)”、”Entourage (HBO)”は作品賞に挙がっていますが、2004年に同賞ドラマ部門を獲得している長寿ドラマ”24 (FOX)”や昨年の話題をさらった”Heroes (NBC)”は圏外に。全体的に、今年のTV部門は意外なチョイスが多い印象です。
ノミネートが出揃った翌週、ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞までをも揺るがすようなニュースが飛び込んできました。先月5日から依然ストライキ続行中の全米脚本家協会(Writers Guild of America: WGA)は、ゴールデン・グローブ賞賞主催者が要求していた「ストライキ下での構成作家の貸し出し」を拒否。また、アカデミー賞主催側の「構成作家/映像クリップの貸し出し」の要請には、作家に関しては保留にしたものの、クリップの貸し出しは見送られることに。もしこのままストが式典当日までもつれ込めば、シナリオ無しの式典決行か、最悪の場合はTV放映(ゴールデン・グローブ賞賞:NBC/アカデミー賞:ABC)をキャンセルする事態にまで及ぶ可能性も。また、WGAストライキの余波として、受賞者/プレゼンターとしての式典参加を渋るアクター勢が続出しているという噂が。これに反し、壇上スピーチは脚本家達の言い分をアピール出来る絶好のチャンスと見る役者もいるとのお話…。一向に解決の目処が立たないWGA vs. AMPTP(Alliance of Motion Picture and Television Producers: 全米映画テレビ製作者協会)。 現在無職の状態に追い込まれている作家達はもちろん、全世界の映画ファンのためにも一日も早い解決を祈りましょう。
いつにも増して、波乱万丈となりそうな2008年度の賞レース。式典が無事に決行されれば、例年よりもユニークな壇上スピーチが飛び出すかも?その前に、ぜひとも早期のストライキ解除を願わずにいられません。ちなみに、今回ご紹介したゴールデン・グローブ賞賞候補は主要部門のほんの一部。詳しいリストは、下記のウェブサイトからご覧下さい。
【ゴールデン・グローブ賞公式サイト】
【顔写真付き候補者一覧】
TEXT BY アベマリコ
2007年12月21日 15:48
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