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第14回SAGアワード:華やかに開催!

先の日曜日「俳優による俳優の為の授賞式」=第14回SAG(全米俳優組合)アワードが、ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムにて開催されました。この地には珍しく、ほぼ1週間続いた悪天候にもかかわらず、多くのスター達が続々と来場。やっぱりアワードはこうでなくちゃ!と思わせてくれる、華やかな式典となりました。



SAGアワードロゴ
ゴールデン・グローブ賞を中止に追い込むこととなったスト中のWGA(全米脚本家組合)と結束の固いSAGだけあって、脚本は準備万端。SAG創立75周年を飾るにふさわしいセレモニーが実現しました。シアター席で行われる他の授賞式とは一線を画し、会場内はリラックスムード。ディナーとシャンパンが用意されたテーブルを囲み、巨大スクリーンにはセレブリティ達の満面の笑みが。中でも、おめでた説がささやかれるアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの「ブランジェリーナ」カップルは、その仲睦まじさに何度もアップになっていました。

それでは、主要部門の結果を。まず、助演男優賞を獲得したのは「ノーカントリー (邦題)」のハビエル・バルデム。GG賞などの各賞に続き、SAGのアクター像も持ち帰ることになりました。スピーチでは、スペイン出身の彼を暖かく迎えてくれたSAG会員と、良いカットばかり選んでくれたという監督のコーエン兄弟に感謝。劇中のピッチリ横分け殺人鬼とはかけ離れた、ノーネクタイのボタン開けというカジュアルなスーツ姿がステキでした。



「アメリカン・ギャングスター」 母親役のルビー・ディー
(C)2007 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
助演女優賞獲得は「アメリカン・ギャングスター」よりルビー・ディー。デンゼル・ワシントン扮するギャングに傾倒していく息子を優しくも厳しく見守る母親を演じ、会員の喝采を浴びました。これまでシアター・映画・TVと多岐に渡って活躍してきた彼女にとって、初のSAGアワード候補入り&受賞。本作の舞台となった60/70年代のニューヨークで実際に育ったという彼女は、スピーチでそのセットのリアルさを賞賛し、トロフィーを掲げながら3年前に他界した夫オジー・デイヴィスを偲びました。

主演女優賞を持ち帰ったのは、こちらも各賞総ナメのジュリー・クリスティー。涙なしでは観られない「アウェイ・フロム・ハー/君を想う」で健忘症を患う主婦を熱演した彼女は、本作で長編監督デビューを飾ったサラ・ポーリーらに感謝の意を述べました。スピーチの最後に「もし誰かの名前を言い忘れてたら、まだ役に入っちゃっているのかも」と締めくくった彼女。チャーミングな笑顔と、授賞式には珍しいパンツスーツでの登場が印象的でした。

そして、主演男優賞には”There Will Be Blood (原題)”より、技巧派俳優ダニエル・デイ=ルイス。壇上では自らについてではなく、先日急逝したヒース・レジャーへの思いを語りました。特に「ブロークバック・マウンテン (2005)」終盤のトレーラーシーンは「これまで観た中で最も感動的なものだった」と表現。スピーチの最後に「これをヒース・レジャーに捧げたい」とアクター像を掲げると、会場は割れんばかりのスタンディング・オベーションに包まれました。世代は違えど、同じ俳優としての心からの敬意。今回のSAGアワードにおいて、最も胸の熱くなった瞬間でした。



本邦初公開?SAGアワード投票セット

映画部門の主要賞ラストは、作品賞にあたるアンサンブルキャスト賞に「ノーカントリー」。劇中、バルデム扮する殺人鬼から逃げ回る逃亡者を演じたジョシュ・ブローリンが、アクター像を受け取りました。「アメリカン・ギャングスター」においても主要キャラとして参加、2007年度は当たり年だった彼。47名のキャスト全員を称え、プロデューサーらの名前を挙げました。途中、背後から「コーエン兄弟も」と茶々を入れるウディ・ハレルソンに対し「俺が喋ってるんだ!」と突っ込む姿に、キャストの仲の良さがにじみ出ていた気がします。ちなみに、授賞式のフィナーレを飾った本賞のプレゼンターとして登場したのは、トム・クルーズ。近年は銀幕よりもタブロイド誌を賑わせている彼の入壇には「どうしてあなたが?」といった空気が…。残念ながら後日、Los Angeles Times誌において「最も予想外のプレゼンター」に選ばれてしまいました。


マークシート方式の投票用紙

一方のTV部門では、1999年の初回放送より昨年の第6シーズンでフィナーレを迎え、その最終回が物議を醸した「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア (HBO)」が主演男優賞(ジェームズ・ガンドルフィーニ)・同女優賞(イーディ・ファルコ)・アンサンブルキャスト賞の主要3冠を制覇。また、コメディ部門で主演男優賞を獲得のアレック・ボールドウィン(30 Rock: NBC)、TV映画/ミニシリーズ部門で同賞獲得のケビン・クライン(As You Like It: HBO)、同部門の主演女優賞に輝いたクイーン・ラティファ(Life Support: HBO)は揃って欠席。一部、WGAストを意識してではないかとの憶測を呼んでいます。そして、今年から新設されたスタントアンサンブル賞には、映画部門に「ボーン・アルティメイタム」、TV部門に「24(Fox)」がそれぞれ納得の受賞となりました。


会報誌より、本年度の生涯功労賞チャールズ・ダーニング

全SAG会員の中からランダムに選ばれた約4200名のメンバーによって候補者を選出、現役メンバー約12万人の投票によって決定するSAGアワード。同業者から選ばれる賞とあって、その喜びもひとしおかもしれません。オスカー像にも影響しそうな「アクター像」の行方は、下記のウェブサイトからじっくりとご覧下さい。アカデミー賞まで、残すところ1ヶ月。今回の授賞式のように豪華なスター達の競演が見られるのでしょうか?WGA関連のニュースに注目です。

【SAGアワード候補/受賞者】


TEXT BY アベマリコ

2008年01月31日 14:39

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