« 史上最高の盛り下がり!?第65回ゴールデン・グローブ賞 | メイン | 第14回SAGアワード:華やかに開催! »

今年はダーク路線:第80回アカデミー賞候補リスト発表

1月22日早朝、ビバリーヒルズに位置するAMPAS (映画芸術科学アカデミー: Academy of Motion Picture Arts and Sciences) 本部にて、2008年度のアカデミー賞候補が発表されました。アカデミー代表シド・ガニス氏とともに女優キャシー・ベイツがアナウンスしたリストには、一体どの作品&誰の名前が並んでいたのでしょうか?

本年度で、キリ良く第80回目を迎えるアカデミー賞。いつも以上に盛大にいきたいところですが、今なお続くWGAストライキの影響下、式典開催のGoサインは未だ出されていません。AMPASやTV放映権を持つABCは努めて前向きなコメントを発表していますが、突っ込んだ質問には言葉を濁すこともしばしば。授賞式中止に追い込まれたゴールデン・グローブ賞の二の舞になるのでは?という声や、ジョージ・クルーニーらを中心とした一部SAG俳優による「出席ボイコット」の噂もあり、来月の授賞式当日までは油断できない状況となっています。


 「つぐない」7部門ノミネート
それでは、今年のラインナップをご紹介。まずは、最も気になる作品賞候補に「つぐない (邦題)」、「フィクサー」、「ノーカントリー」、”There Will Be Blood (原題)”と”Juno”がエントリー。このうち「ノーカントリー」と”There Will Be Blood”が最多8部門へのノミネートを達成、それを追うのが7部門を制覇した「つぐない」となっています。「ドラマが有利」とされるオスカーらしく、選ばれているのは重厚な作品ばかり。特に今年は、第二次世界大戦中の悲恋、司法サスペンス、スゴ腕暗殺者の追跡、オイル王の壮絶な人生、ティーンエイジャーの妊娠…と、ダークなテーマがズラリと並びます。唯一のコメディ”Juno”はどこまで食い込むのでしょうか?


主演男優賞には、ゴールデン・グローブを持ち帰ったダニエル・デイ=ルイス(”There Will Be Blood”)、「スウィーニー・トッド: フリート街の悪魔の理髪師」よりジョニー・デップ、「フィクサー」からジョージ・クルーニー、「告発のとき」よりトミー・リー・ジョーンズ、そして”Eastern Promises”のヴィゴ・モーテンセンがノミネートされています。行方不明の息子を探す警官を演じたジョーンズ以外、とにかくみんなダークで怖い…。ちょっとお知り合いにはなりたくない、コワモテキャラばかりの選出となりました。

主演女優賞候補には、ゴールデン・グローブ賞獲得のジュリー・クリスティー(”Away from Her”)、「エディット・ピアフ: 愛の賛歌」よりマリオン・コティヤール、”Juno”に主演のエレン・ペイジ、”The Savages”のローラ・リニーと、「エリザベス: ゴールデンエイジ」よりケイト・ブランシェットが選ばれました。ブランシェットは”I’m Not There”で助演女優賞にも候補入りしており、主要部門Wノミネートの行方が気になります。

こちらも見逃せないのが、監督賞。「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル、「フィクサー」よりトニー・ギルロイ、ジェイソン・ライトマンは”Juno”から、”There Will Be Blood”のポール・トーマス・アンダーソンと、「ノーカントリー」からジョエル&イーサン・コーエン兄弟が選ばれています。1996年に「ファーゴ」で本部門に候補入りしたジョエル・コーエン以外、全員初ノミネートというから驚き。ベテランと若手が入り混じった混戦となりそうです。


↑会場となるコダックシアター(開催されればの話ですが…)
昨年は「バベル」の菊地凛子さんが助演女優部門に候補入りして日本中を沸かせましたが、本年度の俳優カテゴリーには日本人の名前はなし。しかし!昨年に引き続き、2年連続で「ノービット」(エディー・マーフィーが3役を熱演)の辻一弘さんがメイクアップ部門でノミネートを果たしています。また、イスラエル作品”The Band’s Visit”は英語多用の為に落選、カンヌでパルム・ドール(最優秀賞)獲得の大本命と言われたルーマニアの”4 Months, 3 Weeks and 2 Days”も候補洩れするという波乱含みだった外国語作品部門。こちらには浅野忠信さん主演、カザフスタン/ドイツ/ロシア/モンゴル合作の”Mongol”がノミネートされました。自他共に認める浅野さんの大ファンである筆者、応援しております!昨年のボラット旋風によって一躍ビミョーな印象が付いたカザフスタンですが、本作で初のアカデミー賞候補入り。汚名返上?なるか、かなり楽しみな部門のひとつです。

まだまだ見どころたっぷりのアカデミー賞候補。これまでの各賞レースとカブったり異なったり、なかなか見ごたえのあるラインナップとなっております。詳しい顔ぶれは、下記のリンクよりどうぞ。授賞式開催予定日まで、あと1ヶ月。無事の開催とスター達の出席を祈りつつ、今後の劇場拡大などによる各作品の追い込み、Box Officeの変動にも注目です。

訃報: アカデミー賞候補が発表された22日の午後、2006年に「ブロークバック・マウンテン」でオスカー候補となったヒース・レジャーが若干28歳の若さで他界。ケイト・ブランシェットが助演女優候補入りを果たした”I’m Not There”でも、翳りある存在感が光っていました。先週15日には25歳だったブラッド・レンフロ(「依頼人/1994」「スリーパーズ/1996」)が亡くなるなど悲しい知らせが続いたハリウッドは、将来が期待された若手俳優の死に揺れています。
おふたりのご冥福を心よりお祈りします。


【AMPAS公式サイト/アカデミー賞候補者リスト】


TEXT BY アベマリコ

2008年01月24日 20:37

この記事へのトラックバックURL:
http://blog.eigafan.com/cgi-bin/mt-tb.cgi/916

 
東宝東和株式会社