« 第14回SAGアワード:華やかに開催! | メイン | 音楽の一大祭典:栄えあるグラミー賞は誰の手に? »

賞レースも大詰め!DGA/PGAアワード

2月に入り、アカデミー賞までいよいよ3週間を切りました。一方、先月末/先週末と月をまたいで立て続けに発表されたのは、DGA (Directors Guild of America: 全米監督協会)・PGA (Producers Guild of America: 全米プロデューサー組合)の両アワード。それぞれ、昨年出揃った優秀作品に携わった同業者を称える式典となっていますが、特に前者はオスカーの行方を占うのに重要視されるひとつ。より一層の注目が集まることでお馴染みです。それでは一気に、ふたつの授賞式の結果をお届けしましょう。

1月26日、先立って行われたのは今年で第60回目を迎えたDGAアワード。ハリウッド北部のスタジオ・シティ同様、多くの有名スタジオが軒を連ねるセンチュリー・シティーのど真ん中、ハイアット・リージェンシー・センチュリープラザにて行われました。この式典がアカデミー前哨戦の大本命とされるのは、その歴史にあり。過去59年間で、本アワードとアカデミー賞のベスト監督賞が異なったのはたったの6回。つまり、残り53作品は全て一致の「的中率」なのです。数字にめっぽう弱い筆者にすら伝わるこのスゴさ。業界の注目が集まるのも必至です。

それでは、さっそく本年度の最優秀監督賞。ジョエル&イーサン・コーエン監督が「ノーカントリー (邦題)」でまたひとつトロフィーを増やす結果となりました。1996年の「ファーゴ」以来、ジョエルは2度目のノミネートですが、両氏にとって本アワードは初受賞。しかも、史上これまた初となる兄弟チームでの獲得となりました。ちなみに、チームでの獲得も1961年「ウエスト・サイド物語」のロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンス以来、四十余年振り。「玄人好みの因習打破主義」と脚光を浴びてきたふたりが、とうとう大輪の花を咲かせました。

テレビ部門の受賞は、ドラマシリーズに”Mad Men (AMC)”。昨年7月より始まったばかりの新作が、ゴールデン・グローブ賞に続いての主要部門獲得となっています。コメディシリーズには、こちらも2007年スタートの”Pushing Daisies (ABC)”。南米、イギリスや香港を始め、すでに10カ国近くでの放映が決定している人気作品です。数あるカテゴリーの中で個人的な要チェックは、CM部門で受賞のNicolai Fuglsig。デンマーク出身とのことで苗字がカタカナ変換出来ず恐縮ですが、GUINESSなどのCMで一躍時の人となった若手実力派のニコライさん。とりあえず、お名前をYouTubeなどで検索して頂きたい。GUINESSビールも圧巻ですが、ソニー「ブラビア」のCMでは実際にサンフランシスコに25万個以上のスーパーボールを放っちゃってます。何とこちら、一発勝負のCG無し!とにかく一目、ご覧下さい。

そして、2月2日にアナウンスされたのが、第19回PGAアワード。本来ならば、先日中止となったGG賞が開催されるはずだったBeverly Hilton Hotelにて行われました。こちらでも「ノーカントリー」のプロデューサー、コーエン兄弟とスコット・ルディンが年間プロデューサー賞劇場映画部門を獲得。ちなみにルディン氏、同じく賞レース総ナメ状態の”There Will Be Blood”でもプロデューサーとして名を連ねています。数年先までビッシリ詰まった製作予定作品の数々、目利きとしてのネームバリューで更に注目を集めそう。また余談ですが、彼は「ザ・プロデューサー (1994)」でケヴィン・スペイシーが演じた意地悪プロデューサーのモデルとも言われています。真偽はいかほどでしょうか?

アニメ映画部門に「レミーのおいしいレストラン」よりブラッド・ルイス、長編ドキュメンタリー映画部門には「シッコ」のマイケル・ムーア監督とメーガン・オハラがそれぞれ受賞となりました。テレビ部門では、先日のSAG (Screen Actors Guild: 全米俳優組合)賞同様に「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア (HBO)」より10名にドラマ部門が、”30Rock (NBC)”から6名にコメディ部門が贈られました。また、ユニークなところでは前出のYouTubeを設立したチャド・ハーリーとスティーブ・チェンに、ヴァンガード(先駆)賞が授与されています。彼らのおかげで、これまでどれだけ上記のような映像、日本のみならず世界発信の動画をを楽しんできたことか…。陰ながらにはなりますが、そっと感謝したいと思います。

一方、ストライキの渦中にいるWGA (Writers Guild of America: 全米脚本家組合)は、今週土曜日に控えるWGAアワードと同日、会員向けミーティングの召集をかけています。昨年11月のスト開始以来、牛歩と言われながらも地道にAMPTP (Alliance of Motion Pictures and Television Producers: 全米映画/テレビ製作者連合) との交渉を続けてきたWGA。いよいよ交渉成立となるのか、はたまた再度の決裂となるのか。開催濃厚と囁かれ始めてはいるアカデミー賞ですが、どうやら今週末がヤマになりそうな予感です。今後のニュース、お見逃しなく!

TEXT BY アベマリコ

2008年02月07日 21:39

この記事へのトラックバックURL:
http://blog.eigafan.com/cgi-bin/mt-tb.cgi/942

 
東宝東和株式会社