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ハリウッドは今、海外が熱い!
昨年末から今年2月までに渡った怒涛の賞レースも一段落。しかしその間にも、ロサンゼルスでは様々な映画祭が催されておりました。全演技部門をヨーロッパ勢が占めた本年度のアカデミー賞然り、海外パワーが席巻する昨今のハリウッド。そこで今回は、数あるインターナショナル映画祭の中から注目を集めていたものをピックアップしてご紹介します。
↑PAFFロゴ
本年度のPAFF上映作品のひとつ”Cover (原題)”は、いかついスキンヘッド&俳優業もこなすビル・デューク監督の最新作。HIV患者やホモセクシュアルなどセンシティブに扱われがちなテーマを取り込み、撮影前に黒人ゲイ団体から猛抗議にあっていた問題作でもあります。その過激さからか評価はイマイチよろしくありませんが、監督同様に多くのTVドラマに出演している俳優陣の競演は見ごたえありかもしれません。
本年度が初めて、栄えある第1回目の開催となったのはLos Angeles Brazilian Film Festival (LABRFF)。こちらは3月7日から9日まで、ウェストサイド・パヴィリオン内The Landmark Theaterで開かれた本映画祭はタイトル通り「ブラジル映画」のショーケース。ブラジル出身ないしブラジルにゆかりのあるフィルムメイカーが撮った短/長編、ドキュメンタリーやアニメを含む、選りすぐりの約30作品が一挙に上映されました。
今日のブラジル映画は、ハリウッドに影響されたユニバーサルな作品が多くを占めています。しかし、大きく異なるのは各々のテーマ。アメリカ作品のようにストーリーをグラマラスに見せることなく、ブラジル全土が抱える格差・貧困問題や、それが引き起こす悲しい犯罪など、混沌とした日常がむき出しのままに描かれます。こういったスタイルは、1981年の「ピショット (米題”Pixote: The Law of the Weakest”)」に始まり、近年の大ヒット作「シティ・オブ・ゴッド (2002)」などに見られた「ブラジル流リアリズム」を受け継ぐものでしょう。
この度のLABRFFにおける注目作品は”Not By Chance”。前述「シティ・オブ・ゴッド」のTV放映版「シティ・オブ・メン」の監督・脚本執筆に携わった、ブラジルを代表するフィリペ・バーシンスキ監督の最新作となっています。その手法は、メキシコが生んだ奇才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のそれと比べられることが多々あり。死をテーマに、メインキャラクター達を平行させて物語るスタイルが両氏の名前を世に知らしめることとなりました。
こうした国際色豊かな映画祭は、その土地の空気を肌で感じているような錯覚に引きずり込んでくれます。ちょっとした旅行気分で、これまで見たことがなかった国籍の映画を鑑賞してみるのも一興かもしれません。また、今月末にはいよいよMade in Japanの作品が集う映画祭も予定されていますので、そちらのレポートもお楽しみに。
TEXT BY アベマリコ
2008年03月13日 18:27
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