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13日間のビッグパーティ!Outfest 2008

7月9日から21日まで、13日間に渡って開催された「Outfest: ロサンゼルス・ゲイ&レズビアン映画祭」。世界中から集められた選りすぐりの短編・長編映画、連日繰り広げられたパーティによって大盛況のうちに幕を閉じました。本映画祭の横顔や見どころ、受賞作品や日本からの出品作まで、華やかな2週間を一気にご紹介していきます。

今年で26回目を迎えた本映画祭は、LAを拠点に置くNPO団体「Outfest」によって運営されています。彼らの活動目的は、セクシュアル・マイノリティーに対する偏見を無くし、彼らの地位を向上させること。更に近年では、名門UCLAの映画/TV学科とタッグを組んで、これまでに製作されたLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender/Transsexualの略)関連映画の保存とアーカイヴの作成にも乗り出しています。当初はOutfestのコミュニティ内で始まった映画祭も、今や米ケーブルネットワークHBO、酒造メーカーHeinekenやAbsolutらを含む多くのスポンサーが付くまでの一大イベントに。LAのみならず、全米からの注目を集めるフェスティバルへと急成長しています。

2008年度のOutfest開催シアターは全7ヶ所。オープニング&クロージング上映は、ともにLAダウンタウンのOrpheum Theatreにて、コメディドラマ”Breakfast with Scot (原題)”と”Tru Loved”が選ばれています。”Tru Loved”の監督/脚本/製作を務めたスチュワート・ウェイドは、実はOutfestがきっかけでフィルムメイカーを志した人物。幼少期から本映画祭に足を運び、1986年に観たスティーブ・ブシェミ出演の”Parting Glances”に多大なる影響を受けて今に至るそうです。彼の処女作であり、初のOutfest出品作となった”Cofee Date (2001)”は短編でありながら大きな反響を呼び、2006年には長編となって再上映されました。そんな彼のラブコメ最新作が、いよいよクロージング作品に。今後、目が離せない要チェック監督のひとりです。

今回のOutfestでひときわ大きな盛り上がりを見せたのが、開催2日目。ハリウッドのDGA(Directors Guild of America)を会場に行なわれた「マンマ・ミーア!(邦題)」のプレミア上映は、2回分のスクリーニングが満員御礼となりました。もともとブロードウェイミュージカルとして著名な本作は、ゲイ・フレンドリーとしても知られる名作。劇中のABBAによるナンバーを観客達が一緒に口ずさむ、かなりハイテンションな上映会となりました。「プラダを着た悪魔(2006)」で披露した鬼の形相?からは想像もつかない、メリル・ストリープ演じるフツーの主婦が歌い踊るさまはとにかく必見です。その後18日に全米公開、ピアース・ブロスナンら豪華キャストに固められた本作は、夏休み映画がひしめく中で初登場2位に付けるなど大健闘中。ぜひぜひ近日中に特集したい1本なので、そちらもお楽しみに。

Outfestにおいて、コンペティションが設けられてから今年で14年目。7月20日、ハリウッドの大型劇場John Anson Ford Amphitheatreにて表彰式が行なわれました。世界25カ国より集められた212作品から、主要部門に輝いたのは以下の作品です。

●US長編ドラマ: “Were the World Mine (監督: トーマス・ガスタフソン)”
●外国長編ドラマ: “XXY (ルシア・プエンゾ)” / アルゼンチン・フランス合作
●ドキュメンタリー長編: “Sex Positive (ダリル・ウェイン)”
●観客賞 (賞金$5,000): “Watercolors (デヴィッド・オリヴェラス)”

また、惜しくも受賞は逃しましたが、我らが日本からも2作品が参加。インターナショナル長編部門にエントリーした川野浩司監督の「LOVE MY LIFE / ラブ マイ ライフ」は、Outfest名物のアフターパーティを開催。LGBTがテーマの映画としてのみならず、Japanese Popフィルムとしても注目を集めました。山本兵衛監督の「わたしが沈黙するとき」は、インターナショナル・ガールズ短編部門に出展。本作はOutfestと同時期に開催されていた東京国際レズビアン&ゲイ映画祭などでも上映され、登場人物の繊細な心理描写が高評価を得ているようです。物語の行方を観客に委ねたオープンエンディングに、続きが気になる!と見入ってしまったのは筆者だけではないハズです。

LGBTに属する人々の毎日を、映画を通して分かち合うことを目的にスタートしたOutfest。会場に詰め掛けた人種も異なる老若男女の姿に、それはすでに達成されているような印象を受けました。LGBT/ヘテロセクシャルを問わず、多くの悩みは恋愛模様だったり将来への不安だったり。人として共通の葛藤を共感するのにもってこいの機会でした。Outfest 2008の詳細、その他の受賞作品などは、映画祭同様にポップなウェブサイトからどうぞ!

【Outfest: The Los Angeles Gay & Lesbian Film Festival公式ホームページ】

TEXT BY アベマリコ

2008年07月24日 21:30

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