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日本に2冠!記念すべき第81回アカデミー賞
待ちに待った2月22日、
とうとう2009年度オスカー授賞式の全貌が明らかになりました。映画ファンの皆さんはすでに結果をご存知かと思いますが、ここでは様々な角度から「こぼれ話」にクローズアップ。我らが日本勢の大活躍はもちろん、洗練された式典の模様や気になる数字まで盛りだくさんでお届けします。
LAのあちこちに出現!オスカー巨大看板
今年のアカデミー賞は、全体的に下馬評どおり。各賞総ナメ状態だった「スラムドッグ&ミリオネア (邦題)」が作品賞/監督賞/脚色賞を含む8つのオスカー像を獲得し、次いで「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」が3冠に輝いています。主演女優賞は、過去6度のノミネートを経てケイト・ウィンスレット (「愛をよむひと」)に。同男優賞は「ミルク」のショーン・ペンが「ミスティック・リバー」に続く2つ目のオスカーを持ち帰りました。例年、どんでん返しが多いとされる助演女優賞には「それでも恋するバルセロナ」よりペネロペ・クルスが納得の受賞。同男優賞も多くの期待に応えるように、ヒース・レジャー (「ダークナイト」)がアカデミー史上2人目となる故人としての受賞を果たしています。これまでは唯一、ピーター・フィンチが没後「ネットワーク (1976)」で主演男優賞に選ばれていました。
そんな予想通りの展開に風穴を開けたのが、外国語作品賞を射止めた邦画「おくりびと」。ゴールデン・グローブ賞やLA映画批評家協会賞を獲った「戦場でワルツを (イスラエル)」や、カンヌ映画祭でパルム・ドールに輝いた”The Class (原題/フランス)”が注目を集めていた為、アンダードッグ=大穴と目されていた”Departures (洋題)”の受賞は、現地各紙にも快挙の文字が躍りました。更に、こちらの発表に先駆けて壇上から「ありがとう!」の声を聞かせてくれたのが「つみきのいえ」で短編アニメーション賞を獲得した加藤久仁生監督。緊張の面持ちで迎えたスピーチの最後、米バンドSTYXの”Mr. Roboto”の歌詞を会社名になぞらえた「ドウモアリガトウ、Mr. Robot!」には、セレブ達も大爆笑。笑いまで持っていった監督の底力にシビれてしまいました。
例年以上に極秘プロジェクト化していた、第81回アカデミー賞。コダック・シアターのステージは客席に近付くよう低めに設計され、ハリウッド黄金期さながらのスワロフスキー・カーテンで彩られました。2004年度トニー賞以来の司会を務めたヒュー・ジャックマンによる注目のオープニングは、まるで日本のピン芸人のような手づくり感溢れるセットとともに、次々と作品賞候補を紹介。特に「フロスト×ニクソン」のオマージュでは、アン・ハサウェイと共演してスキットを披露しています。中盤のミュージカル調ステージでは、歌姫ビヨンセをパートナーに。「ハイスクール・ミュージカル」よりヴァネッサ・ハジェンズ&ザック・エフロン、「マンマ・ミーア!」のアマンダ・セイフリード&ドミニク・クーパーと、実生活でもカップルの2組が華を添えました。また、歌曲賞にノミネートされていたジョン・レジェンド(「ウォーリー」)とA. R. ラフマーン(「スラムドッグ$ミリオネア」)によるボリウッド・スタイルのコラボレーションには、和太鼓チームも参加。故人を偲ぶモンタージュにおいては、クイーン・ラティファの歌声が会場をしっとりと包みました。
製作チームが特に趣向を凝らせたプレゼンターの演出は、式典のムードを更に高める立役者に。各演技賞の発表には、過去のオスカー受賞者であるシャーリー・マクレーン、アンソニー・ホプキンス、ソフィア・ローレン、ロバート・デ・ニーロ、ウーピー・ゴールドバーグ、ベン・キングズレーなど「先輩」が5名ずつ登場して、ノミネート者それぞれの名演技を讃えました。また、サラ・ジェシカ・パーカーやウィル・スミスらが複数の部門を一気にアナウンスした辺りも、テンポアップに一役買ったと評判でした。そんな中、オスカー名物ともいえるパロディや異色コラボは健在。「スモーキング・ハイ」そのままに登場したセス・ローゲン&ジェームズ・フランコのコントは、もちろんジャド・アパトウが演出しています。更には、ティナ・フェイ&スティーヴ・マーティン、ナタリー・ポートマン&(ホアキン・フェニックスに扮した)ベン・スティラー、ジェニファー・アニストン&ジャック・ブラックと、他では見られない共演も目白押し。ちなみに、登壇したアニストンの目と鼻の先には元旦那であるブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの姿があり、ちょっとした「ニアミス」がゴシップ好きの話題に上っています。
ABC局にて3時間半に渡って全国放映された本授賞式は、歴代最低を更新してしまった昨年度の視聴率より6%アップ。平均3630万人が見守り、約6760万人が最低6分間はチャンネルを合わせた計算になるようです。近年の視聴率の低迷から脱却を図るため、製作総指揮のビル・コンドン&ローレンス・マークらが重ねた試行錯誤が功を奏したことは間違いなし。特に、歌って踊れるジャックマンの気負わないホストっぷりは高評価を受けました。2009年度で、ようやく自己視聴率ワースト3にまで順位を戻したアカデミー賞。98年の「タイタニック効果」で集めた5520万人強を越えるまで、まだまだ課題が残されているようです。
演技賞4つ全ての受賞者が外国人だった昨年を上回る勢いで、主要部門の作品と俳優、司会までもがインターナショナルだった2009年度のオスカー。アジア映画の更なる躍進に期待しつつ、新たな「ありがとう」が聞ける日が今から楽しみです。あっという間に紙面が尽きてしまいましたが、受賞者の全リストやムービー等は下記のホームページからどうぞ。引き続き、Happy Oscar!を味わってみてください。
TEXT BY アベマリコ
2009年02月26日 18:39
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