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ハリウッドならでは?あるお仕事に応募者が殺到中

「100年に一度」といった世にも恐ろしい形容詞が付けられつつ、連日報道されている世界的な景気後退。LAでもあちこちから「スロー・エコノミー」「レセッション (不況)」など、ネガティブな単語が聞こえてきます。そんな中、エンタメ天国ハリウッドらしい職種がちょっとしたブームになっている模様。登録者数が軒並みアップの「エキストラ業」をご紹介していきます。


一般的なヘッドショット専門店。土地柄かハリウッド周辺には多い。
日本国内における失業率は現在4.5%前後とされているようですが、アメリカの場合は輪をかけて深刻。先月には25年ぶりとなる8.5%にまで上昇と、雇用状況の悪化が目立っています。
更にカリフォルニア州だけを見ると失業率は11%にまで届きそうな勢いで、この第1四半期はずっと10%台が続きました。
アメリカの不景気には、エンターテインメントの需要が上がるのが通例。実際に年末年始の映画興行収入は伸びを見せてはいましたが、いよいよご当地ハリウッドにも不況の波が押し寄せているようです。

ロサンゼルス郡では20万人以上がエンタメ関連業務に就いており、年間200-300億ドルが動くとされる最大ビジネスのひとつ。しかし、今年1月だけでそこから約2万2000人が解雇されたと伝えられています。各スポンサーの撤退から広告収入が減り、結果として映画/TV/コマーシャルのロケ数が激減。LA近郊での映画撮影は約半分にまで落ち、コマーシャルの製作も34%がカットされました。唯一、TV番組のロケが前年比76%アップしましたが、これはWGAストライキ当時の最悪数値からの上昇。一昨年からは、かなり数字を落としていることになります。


店頭に並ぶヘッドショットの数々。
こうしてエンタメ界が戦々恐々とした空気に包まれる中、応募が殺到しているというエキストラ。彼らは「エキストラ/バックグラウンド/アトモスフィア」などと呼ばれ、映画やTVドラマ、コマーシャルなどの背景に登場して、シーンの臨場感を高めます。ご存知ブラッド・ピットや「アグリー・ベティ (邦題)」主演のアメリカ・フェレーラ、「デスパレートな妻たち」のエヴァ・ロンゴリア・パーカーなど、エキストラから芸能活動をスタートさせたセレブ達は数知れず。

彼らのようなスターダムを夢見る俳優の卵たちはもちろんのこと、子供が成人した主婦や定年を迎えたお父さん方など「お小遣い稼ぎ」に参加する一般人もおり、現在はそこに失業中の人々が増え続けている状況です。彼らの窓口となるエージェントには「ヘッドショット=宣材写真」を持参した老若男女で長蛇の列が出来ているとか。特に不況が囁かれるようになってからは1~2時間待ちは当たり前、1度の登録に数百人規模が集まると報じられています。

エキストラには経験も学歴も面接すらも不問で、18歳以上で合法的に米国内で働ける人なら誰でも応募可能。基本的には日給制で、1日65ドルから100ドル前後までと金額は撮影内容によって異なり、拘束時間も様々です。また、エージェントに登録したからといって必ずしもお仕事が与えられるわけではなく、製作サイドに選ばれた人々のみがロケ現場に向かうことになります。

今日ではエキストラ希望者と撮影自体の数がますます反比例しており、競争率はうなぎ登り。しかし、時にはセリフが与えられる「アップグレード」や、そこからSAG (Screen Actors Guild/全米映画俳優組合) の会員に昇格して手当てが倍増するチャンスもあります。更に、コマーシャルの場合は放映回数によってResidual (=印税/出演料) が増える契約形態もあるので、1本で数万ドルの収入になることも。実際にCMのみで生計を立てているツワモノも多く存在します。

撮影中にはカメラを直視したり声を発することが禁じられ、現場のセレブや監督らに話し掛けることはおろか、目すら合わせてはいけないとされるエキストラのお仕事。待ち時間が長い場合も多々あり、なかなか扱いが厳しいようです。それでも応募者が増えているのは、やはり人々が抱くアメリカン・ドリーム?ちょっとした一攫千金を狙える辺りが、多くを惹きつける魅力なのかもしれません。




TEXT BY アベマリコ



2009年04月16日 19:19

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