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一攫千金?ジャックポットを当てた作品達
大作映画が台頭しているハリウッドにて、時に彗星のごとく現れては人気をさらっていく低予算映画。ホラームービーのかき入れ時=ハロウィーンを前に、この秋も新たなロー・バジェット作品が大ヒットを記録しました。こちらの話題作をご紹介するとともに、過去に作られた低予算&高コストパフォーマンスの映画を振り返ってみたいと思います。
 筆者も怯えながら鑑賞!”Paranormal Activity”
10月31日のハロウィーンを前にして数々のホラー映画が封切られる中、ひと際異彩を放っているのが”Paranormal Activity (原題)”。わずか1万5000ドル弱のマイクロ・バジェット=超低予算作品ながら、限定公開2週目となる先週末のボックスオフィスでは、約790万ドルを叩き出しています。かつては各映画祭にて反響を呼び、主に学生街にあるシアターで限定上映された本作の注目度は、観客達のクチコミやSNSを経てうなぎ登りに。その後は、別の地域に住む人々によってインターネット上でのシアター数増加の署名活動が行なわれ、現在でも劇場数を増やし続けているところです。配給元のマーケティング費用200万ドルを差し引いても、3週目での総収益はすでに900万ドル越え。今後もますます数字を伸ばしていくことが予想され、業界内では「ポスト・ブレア・ウィッチ」の呼び声が高くなっています。
本作の監督/脚本/編集/製作を一挙に務めたオーレン・ペリは、イスラエル生まれの39歳。ビデオゲームのデザイナーであった彼はこれまで映画制作を学んだ経験が一切無いながらも、無名の俳優や仲間内のクルーをサンディエゴの自宅に集めて、1週間の短期撮影を敢行しました。新居でのラップ音などペリ自身が体験した不可思議な現象をもとに描かれた本作は、モキュメンタリー=擬似ドキュメンタリー方式を取っており、深夜の物音に悩まされるカップルが就寝中の様子を自らビデオに録画するかたちで進行していきます。多くの即興を交えたふたりのリアルな会話や手持ちビデオカメラの不安定な映像によって、オカルトな内容が更にホラー色を強めることに成功。かのスティーブン・スピルバーグ監督がリメイクに乗り出していたことも話題に上っていますが、本作のあまりの怖さと完成度にリメイクは叶わず、本編そのままに上映が決まって現在に至っています。
制作費3万5000ドルにして世界総興収2億5000万ドルを売り上げた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト (1999/邦題)」しかり、一般的にホラー映画の費用対効果は極めて高め。1968年に製作された「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド (1968)」は低予算カルト作品の草分け的存在になっており、人肉をハムで、血液にはチョコレートシロップを使って撮影した逸話が残っています。本作は11万4000ドルの制作費から国内にて1200万ドル、世界では3000万ドルを回収。一方、32万5000ドルの元手から4700万ドルの興収を得た「ハロウィン (1978)」はシリーズ化もされるなど、昨年までで約1億5000万ドルを売り上げています。
ホラー・ジャンル以外で興行的に大成功した作品として真っ先に挙げられるのは、メル・ギブソンを一躍スターダムに押し上げた「マッドマックス (1979)」。20万ドルの低予算から9975万ドルを回収して、そのコストパフォーマンスの高さは当時のギネスブックにも認定されました。また、制作費100万ドル、わずか28日で撮影された「ロッキー (1976)」となると、世界的に2億2500万ドルを売り上げたうえに3つのオスカーまで獲得。同様に28日間で撮られた「アメリカン・グラフィティ (1973)」においては、制作費のみの77万7000ドルから1億4000万ドルを計上しています。そして近年の作品では「スーパーサイズ・ミー (2004)」の高コスパが記憶に新しいところ。モーガン・スパーロック監督自らが実験台となったドキュメンタリーは、制作費6万5000ドルから最終的に2950万ドルを売り上げることとなりました。
こうして見てみると、費用対効果の高い作品達は内容的にも印象に残る良作ばかり。ジャックポットを当てるには、まず内容ありきであることは間違いないようです。限られた予算内で徹底した少人数制/短期撮影にこだわった”Paranormal Activity”のように、良いアイディアをお持ちの方々はぜひ映画撮影に乗り出してみてはいかがでしょうか?もしかしたらもしかする…かもしれません!
TEXT BY アベマリコ
2009年10月15日 17:50
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