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あなたはもう観た?「イングロリアス・バスターズ」:豪華SAGスクリーニング

来年1月に開催されるSAG Awards (全米映画俳優組合賞)に向けて、アメリカ主要都市ではホリデイ・シーズンを前に随時スクリーニングを開催中。賞レースに絡むこと必至の各タイトルが続々と上映され、作品に携わった監督・プロデューサー・俳優陣らがQ&Aを行なっています。そして今回は、中でもその豪華ゲストから異例ともいえる長蛇の列を作った「イングロリアス・バスターズ」の試写会の模様を潜入リポート。もちろん「あのスター」も駆けつけました。

来年1月31日の開催を予定しているSAG (全米俳優組合: Screen Actors Guild)主催の
SAG Awardsは、今回で第16回目。同業者である俳優達がその年最も優れたパフォーマンスを行なったアクターを選出するアワードとあって、数ある賞レースの中でもとりわけファンが多く、特別な意味合いを持っていると言えます。

このSAG Awardsに先駆けて、アメリカ国内では多くのスクリーニングを実施中。今年すでに封切られている作品や今後オープンする年末の話題作など、各上映会にはその作品の監督やキャストらが来場して、会場の観客らとのQ&Aディスカッションを設けています。特にその日のゲストが俳優陣となると、さすがは「同志」を目の前にしているとあって、スター達が興奮気味に撮影風景を振り返ることもしばしば。もちろん筆者はアクターではありませんが、SAG俳優の知人の「+1」として登録して頂き、この絶好のチャンスを堪能している真っ最中です。


 ロランの話に聞き入る仲が良さそうなゲスト達。
 恐らく全員とも私服のリラックス・モードです。

そして去る22日、LAにおけるSAGスクリーニング会場の中でも最も広いシアターのひとつであるDGA (Directors Guild of America: 全米監督組合)本部にて上映された「イングロリアス・バスターズ (邦題)」。この日は午後12時開演にもかかわらず数時間前から観客達が列をなしており、入場が叶わない人々も続出と、豪華ゲストを誇るSAGスクリーニングでもなかなかお目にかかれない光景を目の当たりにしました。それもそのハズの顔ぶれは、クエンティン・タランティーノ監督を筆頭にオール主要キャスト計8名が登場する豪華さ。写真の左手より、ミヒャエル・ファスベンダー、クエンティン・タランティーノ、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール、イーライ・ロス、ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツが勢揃いしています。

拍手と笑い、時には息を呑む音さえ響いた本編の上映が終わると間髪を入れず、途中参加したファスベンダーを除く7名が一気に登壇。割れんばかりのスタンディング・オベーションに答えながら着席すると、マシンガントークで知られるタランティーノ監督が即座にマイクを握りました。通常のQ&Aでは「モデレーター」と呼ばれる司会者がディスカッションを進行しますが、この日は監督が同役を兼任。こちらも見どころのひとつであり、湧きに湧いた観客を前にご満悦の表情をみせていた監督は、Fワードもバンバン飛び出す程のエキサイトっぷりでした。

今回のQ&Aでは、やはりSAGスクリーニングということもあってか話題はアクティングに集中。絶妙な配役に話が及ぶと、監督は米・仏・独それぞれのキャスティング・ディレクターを配した為に最高のキャストが揃ったとの自信をみせていました。ちなみにキャスティング当初、クルーガーはその流暢な英語からドイツ出身だと信じてもらえなかったそう。アクセントを減らすレッスンを受けたのが裏目に出たと笑うなど、お茶目な一面が見られました。

何よりも監督と働けたことが光栄だと繰り返していたロランは、ユダヤ人の祖父がセットに訪れたという談話を披露。孫娘がナチスに復讐劇を繰り広げると聞いて「お墨付き」をもらったとのことです。また、後半の見せ場となる「アップ」のシーンでは、監督の気遣いでセットに入るスタッフが最小限になったと明かしていました。そして劇中にて圧倒的な存在感をみせたヴァルツは、監督じきじきに配役決定の電話を受けた時はバケーション中だったと回顧。何とも不思議な、最高の瞬間だったと語りました。そしてキャスト陣ならびに観客から彼の名演技について触れられると、全ては共演者との相乗効果から生まれたものであるとして、特にブラッド・ピットとのシーンでは多大なる影響を受けたと話していました。


 友人のハーレーより拝借。ロゴはデフォルトだそうですが、
 ピットのバイクに間違えられる模様。

一方の口数少な目なピットは、セット=教会、脚本=聖書、タランティーノ監督=神と表現。今回の要役を務めたことは、これまでに無い経験になったと振り返っています。これにはタランティーノ監督が製作総指揮を務めた「ホステル (2005/2007)」シリーズの監督であり、多くの作品で演技もこなしている「ホラーの申し子」ロスも大きく頷いておりました。更にピットは本作をキッズ達にも観させたとのことで、特に娘さんが気に入っていたとか。とは言ってもどの子供達もまだ小さく、きっとリップサービスかもしれませんが、子煩悩な姿が垣間見れた瞬間でした。


すでに本作を4回も観たと語る観客から劇中数々のオマージュを挙げられると、思わず「My Friend!」と叫んでいたシネ・フィル=映画通なタランティーノ監督。キャラクター達の無駄話とも言える会話や同時進行していくプロットと絶妙なBGMをシグニチャーに、生粋の映画ファンならではの新作を完成させています。本作の最終地点となる日本では、今月20日より公開中。今回ご紹介したこぼれ話を踏まえて、未見の方々はもちろんのこと、すでに鑑賞済みの皆さんも、噛めば噛むほど味が出る「名誉なき野郎ども」をぜひじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか?

【イングロリアス・バスターズ 公式サイト】

全国大ヒット上映中! 

TEXT BY アベマリコ

2009年11月26日 15:36

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