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ハリウッド最大のパーティ!第84回アカデミー賞
2月26日、ここハリウッドにて開催された「映画の祭典」第84回アカデミー賞。世界中のシネフィルが待ち焦がれたこの日、レッドカーペットは華やかなセレブリティ達で埋め尽くされました。ニューカマーとベテラン勢が入り混じった本年度のオスカーは、見応え満点!トロフィーの行方にちょっとしたトリビアを交えながら、エピソード満載で特集していきます。
コダック・シアター改め、所在地を指す
「ハリウッド・ハイランド・センター」にて
開催された第84回アカデミー賞。
そしてステージに現れるや開口一番、会場となった「元コダック」シアターに突っ込み。コダック社による米連邦破産申告が受理されたことを受けて、「破産法シアター」「あなたの名前が付くかもシアター」などと称し、ゲストの笑いを誘っています。更には、ジョークを繰り出しながらの「必殺Deadpan(=無表情)」も健在で、全体的に落ち着いた司会進行はさすがベテランの貫禄といったところ。
また、現在同シアターにて「Iris」を公演中のシルク・ドゥ・ソレイユによるパフォーマンスや、追悼モンタージュをバックに名曲”What A Wonderful World”をしっとりと歌い上げたエスペランサ・スポルディングなど、観る者を圧倒するステージも充実。その甲斐あってか、ABCで3時間の予定を20分近くも延長して全国放映されたセレモニーは、昨年比4%アップの3930万人もの視聴数を記録しています。
本年度アカデミー賞の主役となったのは、主要部門5冠を制した「アーティスト」。全編LAにて撮影された本作は、フランス映画界初となる作品賞を始めとして、主演男優賞、監督賞、衣装デザイン賞、作曲賞に輝きました。なお、主演のジャン・デュジャルダンは、フランス人男優としてこれまた初のオスカー像を獲得。また、白黒&サイレント作品が作品賞を獲るのは1927年度以来初めて、更にアカデミー賞と仏セザール賞を同時受賞した初作品と、初めて尽くしが続いています。
その一方、最多11部門のノミネートを数えていた「ヒューゴの不思議な発明」は、撮影賞や視覚効果賞など含む技術部門において、同じく5冠を達成。また、作品賞候補にも挙げられていた「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」と「ファミリー・ツリー」は、それぞれひとつずつトロフィーを持ち帰っています。
そして大本命と見られていた男女助演俳優部門は、ともに満場一致のスタンディング・オベーションを受けたオクタヴィア・スペンサー(「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」)とクリストファー・プラマー(「人生はビギナーズ」)のもとへ。御年82歳、オスカー像とほんの2歳違いであるプラマーは、初の受賞にして最年長オスカー獲得者として名が刻まれることになりました。
そして、今回のアカデミー賞において唯一とも言えるサプライズを演出してくれたのが「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」で主役を張ったメリル・ストリープ。多くがヴィオラ・デイヴィスの勝利を確信していた中、まさに17回目のノミネート(過去最多)にして通算3度目(「クレイマー、クレイマー」(1979/助演女優賞)「ソフィーの選択」(1982/主演女優賞))、29年振りとなるオスカー像を手にしています。さすがの大女優にとっても期待値は低かった様子で、スピーチでは「アメリカ国民大半の『何で?また彼女?』って声が聞こえた気がしたけど、何でもいいわ!」とジョーク。そして真っ先に旦那様への感謝を伝えると、これまで培ってきた映画業界に生きる同胞達とのフレンドシップを讃えました。現時点での最多アカデミー受賞女優は、4つのオスカー像を獲得したキャサリーン・ヘプバーン。現代に生きる女優の最高峰とうたわれるストリープは、この記録に追いつけ追い越せとなるのでしょうか。
第84回アカデミー賞: 全受賞リスト
作品賞: 「アーティスト」
監督賞: 「アーティスト」
主演男優賞: ジャン・デュジャルダン「アーティスト」
主演女優賞: メリル・ストリープ「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
助演男優賞: クリストファー・プラマー「人生はビギナーズ」
助演女優賞: オクタヴィア・スペンサー「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」
脚本賞: 「ミッドナイト・イン・パリ」
脚色賞: 「ファミリー・ツリー」
衣装デザイン賞: 「アーティスト」
美術賞: 「ヒューゴの不思議な発明」
撮影賞: 「ヒューゴの不思議な発明」
編集賞: 「ドラゴン・タトゥーの女」
メイクアップ賞: 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
作曲賞: 「アーティスト」
歌曲賞: “Man or Muppet” 「ザ・マペッツ」
音響編集賞: 「ヒューゴの不思議な発明」
録音賞: 「ヒューゴの不思議な発明」
視覚効果賞: 「ヒューゴの不思議な発明」
長編アニメーション賞: 「ランゴ」
短編アニメーション賞: “The Fantastic Flying Books of Morris Lessmore (原題)”
外国語作品賞: 「別離」イラン作品
長編ドキュメンタリー賞: “Undefeated”
長編ドキュメンタリー賞: “Saving Face”
短編映画賞: “The Shore”
ゲスト/プレゼンター(登壇順)
モーガン・フリーマン、トム・ハンクス、キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、サンドラ・ブロック、クリスチャン・ベール、ティナ・フェイ、ブラッドリー・クーパー、グウィネス・パルトロウ、ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・ロック、ベン・スティラー、エマ・ストーン、メリッサ・レオ、ペネロペ・クルス、オーウェン・ウィルソン、ウィル・フェレル、ザック・ガリフィアナキス、アンジェリーナ・ジョリー、ミラ・ジョヴォヴィッチ、クリステン・ウィグ、マーヤ・ルドルフ、メリッサ・マッカーシー、ローズ・バーン、エミリー・ケンパー、ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ、マイケル・ダグラス、メリル・ストリープ、ナタリー・ポートマン、コリン・ファース、トム・クルーズ
年に一度、映画ファンの熱い視線がハリウッドに注がれるこの日。例年に違わず良作に恵まれた本年度は、5つのトロフィーが遥か海を渡り、フランスの地へ届けられる結果となっています。ビリー・ワイルダーやジョルジュ・メリエスといった映画史のパイオニア達にインスピレーションを受けた作品が、それぞれモノクロ・サイレントと3Dで一騎打ちを展開。新旧それぞれのかたちで、映画の面白さを再確認させてくれました。第85回アカデミー賞獲得に向けて、すでに動き出しているハリウッド。さらなる感動作に巡り合えることに期待しましょう。
TEXT BY アベマリコ
2012年03月01日 23:54
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