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『ワルキューレ』~ワルキューレ・ビギンズ~
プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回も現在大ヒット上映中の『ワルキューレ』から。
■ワルキューレ・ビギンズ
『ワルキューレ』で描かれるさまざまな事件は実話であり、キャラクターたちも実在の人物ではあるが、監督のブライアン・シンガーが映画で描いてきたストーリーや登場人物との共通点は多い。この映画の製作総指揮であり、シンガーとは長年にわたるパートナーであるクリス・リーはこう語る。
「昔からブライアンの映画が一味違うのは、白でも黒でもない登場人物や感情の複雑さであり、そういうものすべてが一定のペースやアクションで語られるところです。いろんなおもしろいキャラクターをバランスよく按配するブライアンの能力は、『ユージュアル・サスペクツ』に始まり、『X-メン』のシリーズでも受け継がれています。そして、それが『ワルキューレ』に登場するモザイクのようなすばらしい人物絵巻にも強力に生かされているのです」
■ブライアン・シンガー、実話に挑戦
シンガーにとって、『ワルキューレ』は初めての実話への挑戦というばかりでなく、ユダヤ人という生い立ちゆえに子供の頃からヒトラーやナチス・ドイツ政府が行なった恐怖政治に対して敏感に感じとっていた、歴史の中の暗黒の時期を掘り起こしたいという宿願への絶好のチャンスでもあった。
彼はこう言っている。「第三帝国を掘り下げてみたいという興味が昔からあったんだ。スティーブン・キングの中篇を原作にした『ゴールデンボーイ』という映画ではちょっぴりそれに触れて、1(ワン)のほうの『X-MEN』ではまた強制収容所のシーンがある。だけど、『ワルキューレ』は、ひとつの国家、ひいては世界の大部分を破壊してしまった指導者と、それを阻止しようと決断した男たちを描く驚愕の実話であり、ああいう世界をリアルに描く絶好のチャンスでもあったんだ」
■1944年のベルリンを再現:ワルキューレの美術
危険を承知で謀略に参加した人たちが経験した、不安や心の動きを浮き彫りにする映画だけに、撮影監督ニュートン・トーマス・シーゲルとシンガーは、独特であっても抑えた雰囲気にしようと話し合った。「かちっとしたフレーミングなのに、妙に斜(はす)に構えたアングル、つまり現代的なスリラーの要素に、あの時代の名作の雰囲気をブレンドしたんです。われわれとしては、一連の事件の全貌とか払った犠牲がいかに大きいかとか、そういうところをかなり重視したリアルなビジュアル・スタイルにしたかったんです。ライティングからもアングルからも、そしてカメラと被写体の関係からも、そのものズバリの真実性がかもしだせるようにです」
監督の細部にいたるまでのこだわりと、
それを支える多くのスタッフ・キャストの努力があったからこそ、
よりリアルに感じられる作品が仕上がりました。
3/20(金・祝)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
(c)2008METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2009年03月13日 15:17
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