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『グリーン・ゾーン』~リアリズムを求めて : 『グリーン・ゾーン』のアドバイザーたち~
プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回も、大ヒット上映中の『グリーン・ゾーン』から。
リアルさを求めた本作には、
強力なアドバイザーの存在が不可欠だったようです。
■リアリズムを求めて : 『グリーン・ゾーン』のアドバイザーたち
ポール・グリーングラスの構築する世界は緻密だが、決して頑なではない。「先の読める映画にだけはしたくたかった」と、監督はいう。「同時に、どう思ったり感じてほしいか、観客に押しつけたりもしたくないんだ。生々しい体験を味わって、観客それぞれが自分なりの結論を出せるようにしたい。そればかりを願いつつ、5ヶ月間働きづめだったからね」
「正直えらい難しい題材だった」と、監督は続ける。「なんらかの進捗をはかるには、事実をしっかり掌握する必要がある。いつもみんなでそんなことを話し合ってたね。いろんな戦争を見過ぎて、単純な答えなんか見つかるはずないと思ってたんだけど、いかに難しくても、真実を語るのが自分の出来る最善の道だという勉強になった。次善の策なんてないんだよ」
可能な限り臨場感を出すため、スタッフは米軍在歴20年のベテランで、元大量破壊兵器(WMD)ハンターだった四等准尉リチャード・ラモント(モンティ)・ゴンザレスを軍事アドバイザーに迎えた。
モンティ・ゴンザレスは軍事アドバイザーとして、ロイ・ミラーの人物像に血と肉を与えていった。第75野戦砲兵旅団(後に第75特殊探索部隊[XTF]に改称)に所属中、ゴンザレスは異動捜査班アルファ(MET A)の指揮官を務めていた。MET Aの隊員は腕の立つWMDハンターでもあり、ゴンザレスは彼らに「ボス」と呼ばれた。
『グリーン・ゾーン』の撮影セットに出向いた時、ゴンザレスは自分がまた現場のさなかにいるのにふと気づいた。映画作りの素人だった彼は、監督やスターと一緒にモニター前に何日も陣取って、本物の兵士だったらその状況下でどう対処するかを徹底的に煮詰めていった。
本物志向がこの作品の信条となり、それは劇中で起こる事件をはじめ、兵士、車両、銃、その他画面上に出てくるあらゆる軍事的な要素について、細部にわたるまで徹底された。「モンティと兵士達に、いかに現実的な側面に得心してもらうかが肝心だったんだ」と、グリーングラスはいう。「それが日課だったね」
マットとゴンザレスは、すぐに打ち解けた。マットは“ボス”を現場に迎える意義をすぐに見いだした。「大きな疑問から些細な疑問まで、あらゆる疑問に対して、モンティは経験者ならではの名回答をしてくれたね」とマットは語る。「兵士達がどんな目にあったのか理解する上で、本当に助かった。僕たちは基本的に、イラクで彼らが体験した通りを再現してたからね。実際にMETを率いて兵器探しをした人物に参加してもらえるなんて、願ったり叶ったりだった」
尊敬の念と熱い思いは、相手も同じだった。「マットはちゃんと演じようと真剣そのものだったね」とゴンザレスはいう。「自分の演技力のすべてを出し切って、可能な限り完璧に兵士役を演じようと努めてた」
真実味と臨場感を求めた本作に、最高のアドバイザーは欠かせない存在でした。
“ボス”監修の元、細部にまでリアリティを感じさせる『グリーン・ゾーン』を、
ぜひ劇場でお楽しみください!
TOHOシネマズ スカラ座ほか全国大ヒット上映中!
(c) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
2010年05月19日 11:51
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