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『アジャストメント』~塗り変えられる運命:「操作」の始まり~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回は5/27(金)公開の『アジャストメント』から。

フィリップ・K・ディックの短編小説『アジャストメント(Adjustment Team)』をもとにした本作は、
どのようなきっかけから生まれたのでしょうか?

塗り変えられる運命:「操作」の始まり

 ジョージ・ノルフィ監督は別の脚本に取り掛っていた時、長年の友人でプロデューサー仲間のマイケル・ハケットからの電話で、フィリップ・K・ディックの短編小説『アジャストメント(Adjustment Team)』の話を持ち出された。まだ映画化権を獲得していたわけではないものの、ハケットはディックの遺族に強いコネがあり、この企画に大いに乗り気だった。

 ハケットが売り込んできたのは、“運命の擬人化”というコンセプトだった。愛する女性と結ばれないよう裏から手を伸ばす男たちの話に、ノルフィは強く惹かれた。「ノルフィはすぐに興味を示してくれてね」とハケットは語る。「その日のうちに会って、もっと詳しく話を聞かせてくれないかと言われたからね」。ディックの作品は予言的で反理想郷を描いているが、原案である『アジャストメント』の奇想天外さ―――つまり、運命は我々人間の中に忍び込んだ一派が操作している―――を軸に、そこにラブ・ストーリーを盛り込み、スリルあふれる魅力的な展開で人生における“大きな疑問”を掘り下げる、という映画版独自のコンセプトがノルフィの気に入った点だった。

 ノルフィが手がけたマット・デイモン出演作には『オーシャンズ12』があるが、その撮影中にも、ノルフィとハケットは『アジャストメント』の映画化の話を進めていた。二人ともデイモンを主役にしたい意向は固まっており、ノルフィは主人公にデイモンをイメージして脚本を書き始めていた。「マット・デイモンにはこれ以上ない普通っぽさがあって、だからこそラブ・ストーリーにも際立ったリアリティが出るんだ」とノルフィは語っている。

 我々の身近にいる、巨大で、手ごわく、しかも目に見えないはずの世界を垣間見てしまう男の話に、デイモンは興味をそそられた。そして、脚本の出来がよさそうならぜひ参加したい、という意向を製作側に伝えてきた。「ジョージとは親しいし、ずっと仕事をしてきたからね」とデイモンは語る。「彼は自分で書いた脚本をダメ元で僕のところに持ってきたんだ…自ら監督をやりたいと言ってね。信頼してる人だから、彼ならできると思ったよ」

 ノルフィはこの企画に取りかかる前に、自分が共同脚本を手がけた『ボーン・アルティメイタム』撮影中のデイモンとアイデアを練る機会を設けた。「マットのために書き上げた脚本なんだ」とノルフィは語る。「先に作品に参加したいという意向を聞いてたので、あっちへ行ったりこっちへ行ったりの共同作業だったけどね」。同時に、題材について二人は哲学的な会話を交わし、そのやりとりからストーリーを膨らませていった。

 デイモンが感心したのは、ノルフィがディック作品を膨らませ、現代の観客たちにも共感できるように工夫したところだった。「ジョージは何に対してもこだわりを持ってたね。ひと目でどういう人をキャスティングしたいかを見極めるし、この作品ではこうしたいというビジョンが明確だった」

 目に見えぬ不変のパワーを持ち、人間を操ろうとするこの一派は、一体何者なのか?どんな場所にでも、一瞬にして行く事が出来るエージェントなる者たちは、一体何者なのか?「アジャストメント・ビューロー【運命調整局】」という存在について、プロデューサーのハケットはこう説明する。「彼らには官僚的なシステムがあって、我々が進むべき方向へと人生を微妙に調整したり、時には、そっとそそのかしたり、障害を与えたり、突き動かしたり、勇気づけたり、誘導したり、甘い言葉で丸め込んだりするんだ。人が“他の道”を選んでも大丈夫なように、彼らは全ての解釈を図式化してる。“他の道”とは、当人の周辺で起こる出来事によって、結局はあらかじめ決められた選択肢へと誘導していく別経路のことだ。この世には偶然などはなく、最も純粋な形へと昇華した調整局は、宗教的かどうかを問わず、世界中に広がっている無数の信念の体系を匂わせる存在でもあるんだよ」

「アジャストメント・ビューロー【運命調整局】」という全く新しい切り口から展開する予測不能なストーリーを、ぜひ劇場でお楽しみください!


【アジャストメント 公式サイト】

5/27(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー!

(c) 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

2011年05月09日 11:57

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