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ロバート・デ・ニーロ/Robert De Niro
2度のアカデミー賞を受賞し、「現代最高の名優」と謳われるロバート・デ・ニーロ。その妥協のない演技スタイルによって「デ・ニーロ アプローチ」という言葉を生み出し、後に続く映画スターにも多大な影響を与えています。そんなデ・ニーロが、『ブロンクス物語/愛につつまれた街』以来13年ぶりに監督の座に復帰。今回は、「監督」ロバート・デ・ニーロをクローズアップし、監督第2作『グッド・シェパード』への思い、演出術を探ります。
1943年8月17日、米・ニューヨーク州生まれ。マーティン・スコセッシ監督と初コンビを組んだ『ミーン・ストリート』(73)で全米映画批評家協会賞を受賞して注目を集めて以来、「現代最高の名優」のタイトルを保持し続けているアメリカ映画界きっての演技派スター。肉体の改造もいとわず役になりきる彼の演技スタイルは「デ・ニーロ アプローチ」と呼ばれ、70年代以降の映画の演技術に革新をもたらしました。
アカデミー賞では、『ゴッドファーザーPART II』(72)で助演男優賞、『レイジング・ブル』(80)で主演男優賞を受賞。その他、『タクシードライバー』(76)、『ディア・ハンター』(78)、『レナードの朝』(90)、『ケープ・フィアー』(91)でも主演男優賞にノミネートされています。他の代表作は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)、『恋におちて』(84)、『ミッション』(86)、『アンタッチャブル』(87)、『ミッドナイト・ラン』(88)、『グッドフェローズ』(90)、『ヒート』(95)、『アナライズ・ミー』(99)、『ミート・ザ・ペアレンツ』(00)など。
88年には、ジェーン・ローゼンタールと共同でトライベッカ・プロダクションズとトライベッカ・フィルム・センターを設立。『マイ・ルーム』(96)、『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(97)、『アバウト・ア・ボーイ』(02)、『RENT/レント』(02)といった作品をプロデュース。地元NYでトライベッカ映画祭を主催するなど、映画を柱にした文化活動にも積極的に取り組んでいることでも知られています。
また、93年にはチャズ・パルミンテリの一人芝居を元にした『ブロンクス物語/愛につつまれた街』で監督に進出。60年代のブロンクスを背景に、さまざまな葛藤の中で成長を遂げていく少年の姿をいきいきと描き出し、高い評価を得ました。そして今回、13年ぶりの監督第2作となる『グッド・シェパード』を完成させました。
■9年ごしで映画化を実現させたロバート・デ・ニーロの執念
かねてからアメリカ政府の外交政策や情報収集法に興味を抱いていたロバート・デ・ニーロが、CIAに関する映画を作ろうと思い立ったのは、10年前の1997年のことでした。リチャード・C・A・ホルブルックを介して、CIAに30年間勤務したミルト・ベアデンと連絡をとったデ・ニーロは、『マイ・ルーム』でモスクワ映画祭に出席した際、ベアデンの仲介で元KGBの大佐や指揮官たちと面会し、情報活動に対する認識を深めます。その後、再びベアデンと共にリサーチの旅に出かけたデ・ニーロは、パキスタンとアフガニスタンを訪問。部族地域をまわり、ムジャヒディーンの幹部にも会うなどして精力的に取材を行ったのでした。
CIAの草創期に焦点を当てたエリック・ロスの脚本が、デ・ニーロのもとに届けられたのは、その数年後のこととなります。当初、ジョン・フランケンハイマー監督に出演を打診される形でロスの脚本と出会ったデ・ニーロは、製作の準備期間中にフランケンハイマーが亡くなったあと、自らメガフォンを取ろうと決意。他の仕事をこなしながら、人材探しや製作費の調達に奔走し、執念で映画化にこぎ着けたのでした。「『グッド・シェパード』は、間違いなくデ・ニーロの思い入れと献身の賜だ。彼なくしてこの映画はなかった」と、ロスは話します。
■俳優のチャレンジ精神をかきたてるデ・ニーロの演出
ウィルソン役に選ばれ、憧れのロバート・デ・ニーロと仕事をする機会を得たマット・デイモンは、綿密なリサーチを行い、さらに、CIA創立メンバーたちの家族たちとの面会も試みました。 ウィルソン役に賭けるデイモンの熱意は、<デ・ニーロ アプローチ>の始祖であり、役作りにかけては右に出る者のないロバート・デ・ニーロをも驚かせるものでした。「マットは、役作りにおいて一切の妥協を許さなかった」と、デ・ニーロは証言します。
いっぽう、この映画を支えるもうひとりのスター、ウィルソンの妻クローバーを演じたアンジェリーナ・ジョリーに関しては、「彼女の直感力が素晴らしい」と、デ・ニーロは賞賛の言葉を送ります。「クローバーにとって欠かせない要素を、アンジェリーナは、彼女だからできる演技法で表現してくれた」
このデイモン&ジョリーの脇を固めるのは、アレック・ボールドウィン、ウィリアム・ハートといった数々の賞に輝く大ベテランから、エドワードの息子を演じる新人エディ・レッドメインまで、総勢17名のアンサンブルです。彼らの統率役としてメガフォンを握ったロバート・デ・ニーロは、自身の演出術について次のように語ります。
「役者に限界を感じさせないように、できるだけ自由に演じさせることが大切だ。間違っても平気だとわからせる。そうすれば、監督から“もう一度。今度はこんな方向でやってみよう”と言われても、彼らは挑戦を恐れなくなり、信頼してくれる。このことは演技に限らずクリエイティブ面すべてにおいて重要なことだ」
こうしたポリシーを持つデ・ニーロの下で演技をすることは、役者たちにとっても刺激的な体験になったのでした。「彼はどの俳優にもごく自然に自由な演技をさせてくれる」と語るのは、デイモン。さらにジョリーが、こう付け加えました。「こんなにやり甲斐のある仕事に巡り会えたのは久しぶりでした。最高の機会だったわ」
■ロバート・デ・ニーロの過去の作品をチェック!
ロバート・デ・ニーロの監督デビュー作。チャズ・パルミンテリのオフ・ブロードウェイで大評判をとった一人芝居をもとにした自伝的色彩の濃い作品。60年代のブロンクスを舞台に、ひとりの少年がさまざまな葛藤の中で成長していく姿を描いている。デ・ニーロは少年の父親、実直なバスの運転手役で出演。
60年代のブロンクスとそこでの日常生活も隅々まで丁寧に再現され、絶妙に配されたジャズやR&Bのスタンダードとあいまって映画に奥行きを出している。
発売元:マクザム
販売元:ジェネオン エンタテインメント
DVD価格:3,990円(税込) 発売中
世界ミドル級チャンピオンとなり“ブロンクスの猛牛”と呼ばれたジェイク・ラモッタの自伝をもとに、劇的な栄光と挫折を描いた作品。
主演のロバート・デ・ニーロは、チャンピオンとして見事に鍛え上げられた肉体から、引退後の肥満体型を表現するために体重を20kg以上増量。その徹底したこだわりは「デ・ニーロ・アプローチ」の完成を思わせた。デ・ニーロは本作でついにアカデミー賞主演男優賞を受賞。
発売元・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
DVD価格:3,990円(税込) 発売中
ゴッドファーザーDVDコレクション
『ゴッドファーザーPARTⅡ』では、マイケルが父のあとを継ぎドンとなったコルレオーネ・ファミリーのその後と、若き日のビトー・コルレオーネがファミリーを築くまでが交差して描かれていく。
若きビトーを演じたロバート・デ・ニーロはアカデミー賞助演男優賞を受賞。シチリアにまで赴いてイタリア語を習得し、また、マーロン・ブランドの声を真似る練習をしたという。完璧までに模写されたその演技は必見である。
発売元:ビクターエンタテインメント
販売元:CIC・ビクタービデオ
DVD価格:14,910円(税込) 発売中
2007年10月01日 18:58
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