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アルゼンチン発『ボンボン』

『ボンボン』はアルゼンチンの南部、広大な自然を有するパタゴニアで、全ての撮影が行われた映画です。失業率の高さや、貧困の問題を抱えながらも、金銭だけでは計り知れない豊かさを持つ地から生まれた本作は、ヨーロッパの各国で、多くの人に親しまれることになりました。

■STORY
パタゴニアに暮らす1人のおじさんは、まじめに働いていたガソリンスタンドをクビになってしまいました。ある日、人助けのお礼に大きくて白い犬「ボンボン」をもらうことに。貧乏なのにこんなに大きな犬をもらっても…と困惑するおじさんでしたが、その日から少しずつ良いことが起こり始めて…。

公式サイト

■ 素人キャストによる、飾らない名演技!

主人公のファン・ビジェガスを演じているのは、ファン・ビジェガス自身。リアリティのある演出がしたかったというカルロス・ソリン監督が、実際にガレージで20年間まじめに勤務している彼をスカウトしたのです。
また、ファンの相棒でドッグトレーナー役のワルテル・ドナードはアニマル・コーディネーターだったり…と、それぞれがそのまま本人役で、味のあるスクリーンデビューを果たしています。

カルロス・ソリン監督は、ファン・ビジェガスの充実した、誇らし気な表情を「情熱的でリアルなもの」と表現しています。
それは、「映画の中でのファン・ビジェガスが、寂れたガソリンスタンドでの勤務の後にボンボンと出会い、ドッグ・ショーで喝采を浴びて見せるうっとりしたような表情は、実際の彼が見せるものと同じだから」とのこと。

実際の彼は人里離れた場所にあるガレージで過去20年もの時を過ごし、この映画出演をきっかけに、400人ものエキストラから喝采を浴びることになりました。状況は違っても、その感情は共通のもので、その場での彼の表情は、ドキュメンタリーのような、1つの真実にもなり得るのでしょう。普段から「フィクションよりもドキュメンタリーに、小説よりも伝記に心を魅かれる」と話す監督の演出と、素人キャストによる飾らない演技の融合により、『ボンボン』は、こんなにも味のある作品に仕上がりました。

■映画から観るアルゼンチン
●アルゼンチン、パタゴニアって、どんなところ?
パタゴニアは南アメリカ大陸の南緯40℃線付近を流れるコロラド川域の総称。アルゼンチンとチリにまたがります。 地名の由来は、1520年にマゼランがこの付近に住んでいた先住民を見てパタゴン族と命名したため。パタpata(足)、ゴンgon(大きい)の意味が合わさって、パタゴン族の住む土地ということから、パタゴニアの名がついたとのこと。ただ、パタゴン族は足が大きいわけではなくて、ブーツを履いていたので大きく見えたのだとか。
年間を通して気温が低く、風が強い気候。映画の中でも、主人公たちは多くのシーンで強い風に吹かれています。

●ボンボン、誕生の歴史
ボンボンは、ドゴアルヘンティーノという種類の犬。とても珍しい犬種で、日本には数十頭しかいません。20世紀初頭にアルゼンチンで、地元の闘犬とマスティフ、ブルドック、ブルテリアなどを交配させて作出されました。作出当初の目的は闘犬でしたが、嗅覚が鋭いことから、猟犬として使われるようになりました。
映画の中のボンボンは、とても穏やかで闘犬の血は感じられませんが、歴史ある血統書つきの素晴らしい犬ということで、ドッグ・ショーにも出場する機会を得ていきます。

■DATA
4月14日(土)、シネカノン有楽町ほか全国ロードショー
2004年/アルゼンチン/97分
配給:シネカノン

監督:カルロス・ソリン
出演:ファン・ビジェガス/ワルテル・ドナード/グレゴリオ/ミコル・エステヴェス ほか



2007年03月23日 20:29

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