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フランス発『ベルサイユの子』

第61回カンヌ国際映画祭“ある視点”部門に出品され、静かな感動の渦で上映会場を包み込んだ、ホームレスと少年の強く美しい絆の物語。
それまでの自らの人生を投影させたかのような主人公・ダミアンを演じ、2008年10月、急性肺炎のために37歳の若さで惜しくもこの世を去ったギョーム・ドパルデューと、本作が映画デビューという子役、マックス・ベセット・ド・マルグレーヴの愛らしくも強い意志を感じさせる演技に心が惹きつけられる作品です。
 
■STORY
ベルサイユの森のはずれで、一人ひっそりと生きている男・ダミアン。彼は社会からドロップアウトし、世間から離れて暮らしてきた。
そんな彼の元に2人の母子が現れる。ほかに行き場所のない2人を一晩自らの小屋に泊めたダミアンだったが、次の日の朝、5歳の男の子・エンゾを置き去りにし、母親は去っていってしまう。

ダミアンは、仕方なくエンゾと共に生活を始めることに。初めはエンゾをお荷物と思っていたが、寒さと飢えをしのぎながら生活を共にするうち、ふたりの間にはいつしか本当の親子以上の情愛が芽生えていくのだが…。
 
公式サイト

■フランスの「今」を演じた2人の俳優

ピエール・ショレール監督は、ダミアンを演じたギョームを、
“彼の世代で唯一、ダミアンを演ずることのできる俳優だった”と語ります。

「この役はかなり難しく、ギョームは素晴らしく役を捉えてくれました。撮影の初日から最後まで、彼は映画の波長に合っていました。ギョームを撮影するのは驚嘆すべきことなんです、なぜなら彼は千の表情を持っているからね。彼は豊かな演技力をこの役に注いだ。さらに、彼はとてもよくマックスを助けてくれました。映画の中で、子どもの存在感が際立っているのは、一部はギョームのおかげなんです。」

また監督は、映画初出演にもかかわらず、カンヌ国際映画祭で多くの観客の涙を誘った恐るべき名子役、マックスのことも大絶賛しています。
「子供についていえば、我々は非凡なマックスに偶然出会いました。このように若い俳優と2カ月以上にわたって働くのは非常に大きなリスクです。マックスは、火も、イバラも、冷たい水も嫌いでした。ゲームみたいにだましだましでやりましたよ。そのうえ、彼は自分自身を見失わずに役を演じなければなりませんでした。撮影後、音声収録をしたとき、彼は、フィルムに写っている自分を、マックスとしてではなく、エンゾとして見ていました。この混同が起こらなかったことは大事なことです。マックスはとても強い眼差しと存在感を持っていました。彼はヒーローです。よくやった、マックス!」

■映画から観るフランス
100年に1度ともいわれる世界的不況に見舞われている現代社会。フランスの黄金期を象徴するパリ郊外の世界遺産、ベルサイユ宮殿のはずれには、現在多くのホームレスが暮らしています。
宮殿のみに関わらず、仮小屋、テント、トレーラー、車庫、ビニールハウスなど…仕事がなく住む家もない、約90万人もの人々が当座しのぎの避難所住まいを強いられ、中には劇中のダミアンのようにベルサイユ宮殿を囲む森の中に隠れ家を見つけ暮らしている人々もいます。

本作は、ダミアンがエンゾと出会い、愛に目覚めていく姿を描きながらも、
失業・貧困やそこから来る人権問題などのテーマにも取り組んでいます。


■DATA
5/2(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

2008年/フランス/113分
配給:ザジフィルムズ
(c)Les Films Pelléas 2008


監督・脚本:ピエール・ショレール
出演:ギョーム・ドパルデュー/マックス・ベセット・ド・マルグレーヴ/ジュディット・シュムラ ほか

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2009年04月27日 19:57

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