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ロシア発『ボヴァリー夫人』

フランスの作家フローベールが書き上げたフランス文学の傑作「ボヴァリー夫人」を、世界的に高く評価されているロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が映画化。
本作は第8回モントリオール国際映画祭でグランプリ・国際批評家連盟賞を受賞、1993年ダンケルク国際映画祭ではグランプリに輝き注目を浴びました。
修道院で教育を受けた貞淑なエマ・ボヴァリーが、凡庸な夫に失望し、情事やぜいたくな浪費に耽った末、破滅に至るまでを監督なりの解釈を加えながら丁寧に描きます。

 
■STORY
エマは夢を描いて医者のシャルル・ボヴァリーと結婚するが、凡庸な夫との田舎での生活はひたすらに単調で退屈。失望したエマはうつ状態になるが、シャルルはエマの状態に気が回らない。そんな時に出会ったレオンとの恋も成就せずに終わる。

失意のエマの前に現れたドンファンのロドルフはエマを弄んだだけだ。時を経ずしてエマはレオンと再会し情事を重ねる。逢引などのために浪費を重ねたエマの行く末は…。
 
公式サイト

■原作『ボヴァリー夫人』と自作に寄せて
 アレクサンドル・ソクーロフ監督は、なぜフローベールの小説をテーマに映画を創ったかという問いにこう答えています。

「中学生の頃、読んだ文学の中で、『ボヴァリー夫人』が、最も明快な印象を与えられた1冊だったのです。8年生(日本の中学2年生)でした。同じ時期に、ラジオドラマでも放送され、それも聴きました。人間が人生でそれほどの悲劇に遭遇するということに、私はひどく驚いたのです。」

本作は1989年に完成していますが、当時のロシア国内の政治変動=ソ連崩壊のために、小規模な公開に終わっていました。しかし、フローベール没後130周年にあたる2010年に先駆けて、日本のファンのために監督自身がディレクターズカット版として再編集。日本での公開が決定したのです。

監督は日本での映画公開に向けてこう語ります。
「ロシアでこの映画が上映されている時期、国内で大変シリアスな政治変革が起こっていたので、資料は何も残っていません。ですから日本での上映は、この作品の新たな出発のように思っています。」


■映画から観るフランス
監督への取材によると、エマが着ている衣装はフランスのデザイナーが手掛けている、世界で最も有名なブランドのひとつ、クリスチャン・ディオールだそうです。本作が完成したのは1989年ですが、エマが着ている服は時代にとらわれず着ることのできるハイセンスなデザイン。田舎町で暮らしながらも高いプライドを持ち続けるエマの姿がファッションからも感じ取れます。

エイジレスで斬新なセンスは、この作品のテーマが時代を超えて
普遍性をもつことを表現するのに、一役買っています。


■DATA
10/3(土)、シアター・イメージフォーラムほか
                 全国順次ロードショー

1989年=2009年/ソ連=ロシア/128分
配給:パンドラ


監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:セシル・ゼルヴダキ/R.ヴァーブ アレクサンドル・チェレドニク/B.ロガヴォイ ほか

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2009年09月29日 22:34

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