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フランス=ベルギー発『シスタースマイル ドミニクの歌』
ドミニク、ニク、ニク…♪
今もどこかの街角で、歌われつづけている名曲「ドミニク」。
美しく明るい歌声で人々を魅了し、世界的大スターとなったのは、
ベルギーの修道院に暮らす純真なシスターでした。
実在のシスターを、次回クリント・イーストウッド監督作品への出演も決まっている実力派女優セシル・ド・フランスが熱演。情熱的で純真な<シスタースマイル>を体現したと世界中のメディアが絶賛しました。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた経験を持つ俊英ステイン・コニンクス監督が、女性の自立が困難であった時代に、愛と自由を求めたひとりの女性を、優しいまなざしで描き出します。
■STORY
1950年代後半のベルギー。誰もが自由を求めていた時代。ジャニーヌ・デッケルスは親の望む結婚や家業を継ぐことよりも、シスターになる道を選ぶ。
厳格な修道院での生活の中、彼女の音楽の才能に気がついたシスターたちに励まされ、
ジャニーヌは聖ドミニコの教えを歌にした「ドミニク」を作ります。その美しいメロディと歌声が評判となり、やがて<謎の歌うシスター>として前代未聞のレコードデビューを果たすことに。
「ドミニク」は瞬く間に世界中に広がり、当時ハリウッドで『歌え!ドミニク』という映画が製作されるほど彼女は大スターとなりました。そして、もっと自由に歌いたいと願った彼女は修道院を去ることを決めるのですが…。
■セシル・ド・フランスから見た<シスタースマイル>
「彼女はまさにとんでもない人でした!“自分”というものを譲らない人でした。母親に支配されることを拒み、次に修道院の先輩に反発し、世の中の常識を受け入れようとしませんでした」
セシル・ド・フランスは<シスタースマイル>の世論に立ち向かう反体制的な一面に興味を持ったと言います。
「彼女は攻撃的で、野性的な荒っぽい一面を持っていました。ですから、私は撮影のとき、表情に野性味を持たせることを提案しました」
そして<シスタースマイル>に関する資料を読み、こう分析します。
「彼女はかなり不安定な思春期の状態のまま大人になりきれなかった女性で、そのため現実に向き合うことができなかったのだと思います」
ステイン・コニンクス監督が<シスタースマイル>に一番興味を持った点は、彼女が愛を必要としていたということでした。その点について、セシル・ド・フランスもこう語っています。
「偉大なアーティストのように皆から扱われた時に、彼女には大きな愛情が必要だったし、愛し愛されたいと願っていたのです」
■映画から観るベルギー
カトリック教徒が大半を占めるベルギーにおいて、1950年代は離婚や中絶などが絶対に許されず、ジャニーヌの母親のように「好きな男性と結婚して子どもを生むことが、女の幸せ」という保守的な価値観が常識でした。しかし、現在のベルギーは、女性の地位向上においてもっとも高水準と言えます。
ベルギーは世界でもいち早く女性が国会議員になった国(1921年)で、女性の大臣就任率も高い(2000年データで55%)。日本と同じように立憲君主制ですが、王位継承権は性別に関係なく第一子となり(1991年)、現皇太子ご夫妻は二男二女に恵まれていますが、第一子エリザベート王女がその第一号となります。夫婦別姓が定着しており、女性も生まれたときの姓を、結婚・離婚・死別などに影響されずに持ち続けます。女性の雇用者率は欧米諸国の中でも高い方で、特に、子供がいても率が下がらないそうです(OECD、2002年データ)。
こうした成果は、保守的な価値観を破り、社会的権利や自由を求めて立ち向かった女性がたくさんいたからなのでしょう。<シスタースマイル>ことジャニーヌは、そうした女性たちの象徴なのかもしれません。
本作は時代を超えて、きっと現代女性にも勇気と希望を与えてくれるはずです。
■DATA
7/3(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
2009年/フランス=ベルギー/124分
配給:セテラ・インターナショナル
監督:ステイン・コニンクス
出演:セシル・ド・フランス/サンドリーヌ・ブランク/マリー・クレメールほか
(C) 2009 PARADIS FILMS - LES FILMS DE LA PASSERELLE - EYEWORKS FILM & TV DRAMA - KUNST & KINO
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2010年07月01日 17:30
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