STAFF&CAST

~STAFF PROFILE~

●監督_アラン・レネ

数々の栄誉に輝くフランスの巨匠。アニエス・ヴァルダ、クリス・マルケルらと共にヌーヴェル・ヴァーグのセーヌ左岸派と呼ばれる。1922年6月3日ブルターニュ地方ヴァンヌに生まれる。子供時代から映画に惹かれ、12歳の誕生日に贈られた8㎜カメラで映画を撮り始める。39年、俳優を目指しパリに出るが、4年後映画編集を学ぶため高等映画学院に入学。1年間の兵役後、46年、パリに戻り映画編集者としてキャリアをスタート。同時に自ら短編映画を撮り始める。短編ドキュメンタリー『ヴァン・ゴッホ』(48)で、アカデミー賞短編賞を受賞。ナチスによるユダヤ人虐殺を扱ったドキュメンタリー『夜と霧』(55)でジャン・ヴィゴ賞、フランス映画大賞を受賞、国際的に知られるようになる。初長編は1959年『ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)』。記憶と忘却をテーマに、原爆を受けた広島を舞台にしたフランス人女性と日本人男性との邂逅を描く、作家マルグリット・デュラスとのコラボレーションによるこの作品はカンヌ映画祭で上映、絶賛され、国際批評家連盟賞、映画テレビ作家協会賞を受賞。翌年の『去年マリエンバートで』ではアラン・ロブ=グリエと組み、ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞。虚実目眩めく幻惑的かつ洗練された映像美で一世を風靡した。63年の『ミュリエル』ではヴェネチア映画祭でデルフィーヌ・セイリグに主演女優賞をもたらす。1966年にはイヴ・モンタンを主役に『戦争は終わった』を監督。反フランコ派の革命家を主人公にしたこの作品は、スペイン政府の反対によってカンヌ映画祭ではコンペ上映をはずされ、コンペ外での出品となったが、国際映画批評家連盟賞を受賞。ルイ・デリュック賞にも輝いた。ゴダールらと共に参加したオムニバス『ベトナムから遠く離れて』(67)、ジャン=ポール・ベルモンドを主演に迎えて商業的な成功を得た『薔薇のスタビスキー』(74)などを経て、ジョン・ギールグッド、ダーク・ボガードを迎え、『プロビデンス』(77)を監督。レネ特有の記憶と時間、虚と実の錯綜する老作家の回想劇で、セザール賞作品賞はじめ7部門受賞。80年の『アメリカの伯父さん』はカンヌ映画祭審査員特別グランプリ、国際批評家連盟賞受賞。80年代以降、レネは舞台、音楽など映画外の素材を自身の映画にいかに組み込むかに興味を持つ。また、サビーヌ・アゼマ、アンドレ・デュソリエら決まった役者陣とよく組むようになる。時々の選択がそれぞれ違った結末を生み出す野心作『スモーキング/ノースモーキング』(93)のレネの独創性に対し、ベルリン国際映画祭は銀熊賞を贈った。同作はセザール賞作品賞ほか5部門を受賞。再びルイ・デリュック賞も受賞。97年の『恋するシャンソン』でもルイ・デリュック賞を贈られる。2000年代に入っても、レネの制作意欲は衰えず、本作が3本目。すでに最新作『Vous n'avez encore rien vu』の撮影も終えているという。

●脚本_ローラン・エルビエ

1961年ブルゴーニュ地方、アネに生まれる。1980年代後半からTVシリーズなどの助監督としてキャリアを積む。ブレイク・エドワーズ監督の『ピンク・パンサーの息子』(93)、ジョン・バダム監督『迷宮のレンブラント』(97)、ロマン・コッポラ監督『CQ』(01)などの助監督を務める。1995年に初監督作である短編『Le poids du ciel』を撮るが、長編デビューは2006年『Mon colonel』。コスタ=ガヴラスと共同脚本で、アルジェリア独立戦争をテーマにしたこの作品は好評を博した。 レネ作品は、『巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)』(03)、『六つの心』(06)に助監督として参加。本作は脚本家として制作に加わった。また、レネの最新作にも脚本家としてクレジットされている。

●原作_クリスチャン・ガイイ

フランスの作家。1943年パリ生まれ。若いころはプロのサックス奏者を志していたという。44歳で作家デビュー。2000年「Nuage Rouge」でテレラマ誌のフランス文化賞を受賞。2002年に上梓した「ある夜、クラブで」はフランスでベストセラーとなり、アメリカはじめ各国で翻訳されたほか、映画にもなった。ほかに「さいごの恋」など。

●撮影_エリック・ゴーティエ(A.F.C)

1961年生まれ。ソルボンヌ・ヌーヴェルパリ 第3大学、次いでルイ・リュミエール写真映画技術学校で映画を学ぶ。1982年卒業後すぐに撮影監督ブリュノ・ニュイッテンのアシスタントとして、アラン・レネの『人生は小説なり』(83)に参加。アシスタントをしながら、数々の短編映画の撮影監督を務める。この間にアルノー・デプレシャンらと知り会う。1991年、ニュイッテン自身の監督作『Albert Souffle』(92)で初めて長編作品の撮影監督を依頼される。この後、『そして僕は恋をする』(96)など、多くのデプレシャン作品、『イルマ・ヴェップ』(96)を始めとするオリヴィエ・アサイヤス監督作品の常連となり、その卓越した撮影技術で90年代フランス若手映画人の筆頭の一人と目される。パトリス・シェロー監督の『愛する者よ、列車に乗れ』(98)でセザール賞撮影監督賞を受賞。ウォルター・サレス監督『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04)ではカンヌ映画祭技術賞インディペンデント・スピリット撮影賞を受賞。ショーン・ペン監督『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)ではリュミエール賞を受賞するなど、国際的にも活躍。レネ監督には、『六つの心』に続いての起用となっただけでなく、最新作『Vous n'avez encore rien vu』も撮影を任されている。その他の主な作品にアニエス・ヴァルダ監督『百一夜』(94)、エンキ・ビラル監督『ティコ・ムーン』(96)、レオス・カラックス監督『ポーラX』(99)、アン・リー監督『ウッドストックがやってくる』(09)、ジュリアン・シュナーベル監督『ミラル』(10)など。

●音楽_マーク・スノー

1946年8月26日NYブルックリン生まれ。名門ジュリアード音楽院卒業。卒業後はポピュラー音楽に傾倒し、ニューヨーク芸術音楽高校からジュリアードにも共に進学したマイケル・ケイメンと他3人の仲間でニューヨーク・ロックンロール・アンサンブルを結成。5年に渡りバンドとして、レコーディングとツアーを行った。その後、70年代後半から映画やTV番組に楽曲を提供するようになる。関わった作品は100本以上。78年から79年のエピソードに主題曲を提供した『刑事スタスキー&ハッチ』(75-79)、大ヒット・シリーズ『ダイナスティ』(81-89)でも幾つかのエピソードで音楽を担当したが、彼を最も有名にしたのは日本でもブレークした『X-ファイル』(93-02)である。全シリーズで音楽を担当したほか、映画版『X-ファイル ザ・ムービー』(98)、『X-ファイル:真実を求めて』(08)も手掛けた。ランス・ヘンリクセン主演の『ミレニアム』(96-99)でも手腕を発揮。スノーによれば、レネは、TVで放映された『X-ファイル』を見て(聞いて)、2006年『六つの心』の音楽を依頼。さらに、本作、最新作、と今やレネ組の一人となった。他の主な作品に、『探偵ハート&ハート』(79-84)、『女刑事キャグニー&レイシー(81-84)、『ヤング・スーパーマン』(01-07)、『マシュー・フォックス/心霊探偵 ホーンテッド』(02)など多数。

●製作_ジャン=ルイ・リヴィ

1941年マルセイユ生まれ。1968年からフランスの老舗タレント・エージェンシーであるArtmediaで、女優ロミー・シュナイダーらのエージェントを担当する。その後、80年代後半からプロデューサーとしての活動を始める。ジェラール・ドパルデュー主演の『さよならモンペール』(91)はフランスで大ヒットし、アメリカでリメイク『恋人はパパ/ひと夏の恋』(93)が作られる。また、アラン・コルノー監督『めぐり逢う朝』(91)を製作し、セザール賞作品賞他全7部門受賞。他の主な作品にクロード・ソーテ監督『愛を弾く女』(92)、クロード・ミレール監督『伴奏者』(92)、ジャック・オーディアール監督『リード・マイ・リップス』(01)など。レネ監督の次回作『Vous n'avez encore rien vu』も製作。

~CAST PROFILE~

●マルグリット/サビーヌ・アゼマ Sabine Azéma

1949年9月20日、仏・パリ出身。フランス国立高等演劇学校で演技を学び、76年に「On aura tout vu」で映画デビュー。その後、83年にアラン・レネ監督の「人生は小説なり」に出演し、セザール賞助演女優賞にノミネート。以降、アラン・レネ監督とのコンビで、『メロ』(88)、『スモーキング/ノースモーキング』(93)、『恋するシャンソン』(97)、『巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)』(03)、『六つの心』(06)などに出演。『メロ』ではセザール賞主演女優賞を受賞。1984年の『田舎の日曜日』でもセザール賞主演女優賞を受賞している。その他、ベルトラン・タヴェルニエの『素顔の貴婦人』(89)、ゴダールの『映画史』(98)、エマニュエル・ベアールやシャルロット・ゲンズブールと共演した『ブッシュ・ド・ノエル』(99)などに出演。私生活では、アラン・レネ監督のパートナーでもある。最新作に、ダニエル・オートゥイユと共演した『Donnant, donnant』(10)、『La fille du puisatier』(11)がある。

●ジョルジュ/アンドレ・デュソリエ André Dussollier

1946年2月17日、仏・アヌシー出身。フランス国立高等演劇学校で演劇を学び、首席で卒業後、19 72年に、トリュフォー監督の『私のように美しい娘』で映画デビュー。その後、ロメール、シャブロル、リヴェットといったヌーヴェル・ヴァーグの監督作品に出演。1985年に出演をした『赤ちゃんに乾杯』が大ヒットし、ハリウッドでリメイクされるなど、国民的な役者となる。1992年の『愛を弾く女』、2001年の『将校たちの部屋』(フランス映画祭横浜2001上映)では、セザール賞助演男優賞、97年の『恋するシャンソン』では、同賞・主演男優賞を受賞している。その他、『ロング・エンゲージメント』(04)、『あるいは裏切りという名の犬』(04)、『ミックマック』(09)に出演し、日本でも大ヒットした『アメリ』(01)ではナレーションを担当。本作のサビーヌ・アゼマとは、アラネ・レネ作品で度々共演を果たしている。最新作は、アンヌ・フォンテーヌ監督の『Mon pire cauchemar』(11)。

●スザンヌ/アンヌ・コンシニ Anne Consigny

1963年5月25日、仏・アランソン出身。9歳でルノー=バロー劇団の「繻子の靴」で初舞台。18歳でコメディ・フランセーズに入団。81年に高田賢三監督『夢・夢のあと』で映画デビュー。舞台での活躍が認められ、2002年、2003年にはモリエール賞助演女優賞に連続ノミネート。近年、積極的に映画に出演し、『灯台守の恋』(04)、『愛されるために、ここにいる』(05)、『潜水服は蝶の夢を見る』(07)、『華麗なるアリバイ』(08)、『クリスマス・ストーリー』(08)などに出演。最新作は、イザベル・アジャーニ、エリック・カントナ出演の『De force』(11)。

●ジョゼファ/エマニュエル・ドゥヴォス Emmanuelle Devos

ゴールデン・グローブ賞ミニシリーズ部門の作品賞にノミネートされた、スザンナ・ホワイト監督のBBC「ブリーク・ハウス」でエミー賞美術賞にノミネート。また、BBCのNorth and Southでは英国アカデミー賞TV賞にノミネートされている。その他、CMの映像作品にも数多く携わっている。

●ベルナール(警官)/マチュー・アマルリック Mathieu Amalric

1965年10月25日、仏・パリ郊外のヌイイ=シュル=セーヌ出身。父はル・モンド紙の記者、母は文芸評論家。82年、両親の友人であったオタール・イオセリアーニ監督「Les favoris de la lune」に17歳で出演したのをきっかけに映画に魅了され、自身で短編を撮りはじめる。その短編を観たデプレシャン監督に見出され、『魂を救え!』(92)に出演。以降デプレシャン監督作品の常連役者となり、『そして僕は恋をする』(96)ではセザール賞有望若手男優賞、『キングス&クイーン』(04)では同賞・主演男優賞に輝いた。その他、日本でもヒットした『潜水服は蝶の夢を見る』(07)の演技で高い評価を獲得し、近年では『ミュンヘン』(05)、『007 慰めの報酬』(08)といったハリウッド大作にも出演し話題になる。97年の初長編「Mange ta soupe」以来、監督作もコンスタントに発表し、最新作の『さすらいの女神(ディーバ)たち』(10)では、カンヌ映画祭最優秀監督賞を獲得した。

●ルシアン(警官)/ミシェル・ヴュイエルモーズ Michel Vuillermoz

1963年12月18日、仏・ロワレ県オルレアン出身。 1989年に、ジャック・リヴェットの『彼女たちの舞台』で映画デビュー後、TVドラマや映画などで活躍。代表作に、『そして僕は恋をする』『ベルニー』(96)、『ボン・ヴォヤージュ』(03)、『ロング・エンゲージメント』(04)、『ダニエラという女』(05)、『モンテーニュ通りのカフェ』(06)などがある。2009年に出演をした『Le dernier pour la route』では、セザール賞助演男優賞にノミネート。

●ナレーション/エドゥアール・ベール Edouard Baer

1966年12月1日、仏・パリ出身。18歳よりフローラン演劇学校で演技を学び、1990年代前半、ラジオ番組の司会として人気を集め、その後、テレビで活躍。 1994年、「La Folie douce」で映画デビュー。2001年に、クロード・ミレール監督の「Betty Fisher et autres histoires」で、セザール賞助演男優賞にノミネート。俳優のみならず、監督業もこなし、1999年に「La Bostella」で監督デビュー。近年、歴史喜劇の「モリエール」(06)や、クロード・シャブロル監督のサスペンス『引き裂かれた女』(07)などにも出演。2008年と2009年には、カンヌ映画祭のセレモニーで司会も務めている。
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